不動産業の宅都ホールディングス(大阪市中央区)は29日、がん患者向けのホテル「ラクスケアホテル」(同区)を2月4日に開業するのに先立ち、報道関係者に公開した。
大阪メトロ谷町線谷町四丁目駅から北へ徒歩約4分の谷町筋沿いに立地。がんの先進医療を行う近隣の大阪国際がんセンターと連携したサービスを行う。受診や入院で宿泊施設の必要な患者やその家族をターゲットにしており、訪日外国人の医療ツーリズムも取り込む狙いだ。
地上14階建て。客室は19~68平方メートルの全48室。このうち8室は作業療法士が監修している。家族連れでの長期滞在を想定し、2室をつなげて使えるファミリールームもある。
日中はフロントに看護師資格を持つスタッフが常駐。担当医師や作業療法士の指示に基づき、食事や運動面についてアドバイスするなどがんセンターとの連携を図る。また、抗がん剤による脱毛や皮膚など見た目の変化に対応する医療用かつらやメークの専門店も紹介する。
客室料金は1泊1室2人利用で約2万円。最高級スイートルームは5人利用で約10万円。大阪国際がんセンターを受診する患者やその家族は2割引きとなる。一般客も広く受け入れる方針で、75~80%の客室稼働率を見込む。
また1階レストランでは、管理栄養士や看護師などで構成する同センターの臨床栄養委員会が監修した特別レシピを提供する。口内炎など9症状を想定した料理で、同ホテルの児玉憲彦支配人は「がん治療中の患者が食べやすく、家庭の食卓でも再現しやすいメニューにする」と話す。
大阪国際がんセンターは、大阪府立成人病センターが前身。タイやバングラデシュの医療機関と提携するなど、訪日・在日外国人の治療にも取り組む。近隣には大阪重粒子線センターや大手前病院と、がん治療の拠点が集積しており、3施設で診療情報を一元化する計画もある。