新型肺炎の影響懸念広がる、工場再開延期や運休も


 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業の間で業績への影響を懸念する声が広がっている。自動車や電機などの製造業は、サプライチェーン(部品の調達・供給網)寸断を警戒。観光などの業界は、訪日中国人減少による国内販売への影響を危惧する。中国工場の春節(旧正月)明けの操業再開を延期するなどの対応も広がり始めた。

 「当社としても大変憂慮している」

 ソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は、4日に東京都内で開いた決算記者会見の席上、新型肺炎の影響に言及した。

 同社はこの日、令和2年3月期の連結業績予想を上方修正したが、理由に新型肺炎の影響は含まれていない。十時氏は「新型肺炎で上方修正を打ち消す影響が出る可能性も否定できない」と説明。スマートフォン向け画像センサーの供給や、ゲーム機「プレイステーション4」の販売が影響を受ける可能性があるとした。

 一方、花王はこの日、新型ウイルスの感染拡大が2年12月期に最大200億円の減収要因になると予想。化粧品などで中国人観光客の消費が落ち込むとみており、沢田道隆社長は「しばらくは影響が続くイメージ」と話した。高級ホテルの運営を手がける東急不動産の木村昌平取締役は記者団の取材に応じ「ホテル宿泊の予約サイトに掲載されている価格帯が低下している」と指摘。団体予約のキャンセルを埋めるため、ホテルが安値予約を受け付け始めていると推測した。

 そうした中、全日本空輸と日本航空は中国路線の一部運休と減便を発表。既に成田-武漢線を運休している全日空は新たに10日から3月29日まで成田-北京線を運休し、羽田-北京線は週7往復に半減した。

 中国の工場操業再開を遅らせる動きも広がっており、日産自動車は湖北省以外の拠点を2月10日以降、同省の拠点は14日以降に延期。従来は4日までを春節休暇としていた。ソニーが4工場の再開を10日以降に延ばすなど、同様の動きは他の業界でも広がる。各社の対応は地方政府などの指示に基づくものとはいえ、再開が遅れるほどマイナスが膨らみかねない。



Source link