新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け7日、日本の自動車メーカーが、来週に予定していた中国工場再開の再延期を相次ぎ発表した。トヨタ自動車は全工場で、ホンダはウイルスの震源地の武漢について、再開を「17日以降」と決定。一部は10日から再開の方針だが、影響がまだ収束しないことが鮮明となり、各社は調達網なども含めた状況確認に追われている。
トヨタは、全工場の再開を早くて10日と予定していた。内訳は完成車工場4カ所とエンジンなど部品工場8カ所の計12工場。再延期は、物流の回復が十分でなく、部品調達が先行き不透明なことなどが背景だ。来週は「再開準備」との位置づけで、10日から一部の従業員は出勤して補修・点検を実施。状況が整えば即時稼働できるようにする。4完成車工場では昨年、約140万台を生産している。
ホンダは、武漢の四輪車工場の再開を早くて14日としていたが、もともと春節(旧正月)休暇中に予定していた設備改修工事がずれ込んだこともあり、17日以降にずらした。一方、広州市の四輪と二輪の工場などは10日に再開するとした。
ホンダの倉石誠司副社長は7日の決算記者会見で「車は部品1点なくても生産できない。あくまで、従業員の安全や部品の状況などを確認してからとなる」とも述べ、状況が刻々と変化する難しさを語った。
武漢にある3工場の年間生産能力は約60万台で、同社の中国全体のほぼ半分。業績への波及については「現在のスケジュールで再開できればそれほど大きな影響はない」としつつも、「さらに長期化したら別の話だ」と不安感を示した。
日産自動車は、湖北省以外の3工場は10日から再開予定。武漢の現地法人や湖北省内の工場は「14日以降」としている。
倉石氏は「湖北省とその他では状況がかなり違う。販売店がオープンしているところもある」と明かし、正常化のきざしも見え始めてはいる。だが、工場が中国にないSUBARU(スバル)の岡田稔明最高財務責任者(CFO)も、調達先メーカーの中国工場もあるとして「今は中国抜きには車が生産できない」と指摘する。全体の正常化が遅れれば、今後の業績に悪影響となる不安は続く。