【モスクワ=小野田雄一】ロシアが新型コロナウイルスをめぐる偽情報を欧州でも拡散させているとして、欧州連合(EU)が警戒を強めている。「新型コロナウイルスは米国や英国が開発した」などとの内容で、感染拡大による混乱が助長されかねないと懸念するためだ。
新型コロナに関する偽情報をめぐっては、米国もロシアを発信源の一国と認定している。ロイター通信などによると、EUは16日にまとめた内部文書で、ロシアの政府系メディアが1月22日以降に報じた偽情報は約80件に上ると指摘した。
偽情報は英語や欧州各国の言語で流されており、内部文書は、露メディアが「新型コロナは生物兵器」「新型コロナは米国で最初に発生した」などと根拠のない情報を引用し、拡散していると分析。「ロシアの狙いは西側諸国の公衆衛生の危機を深刻化させ、欧州の連帯を破壊することだ」と強調した。
一方、ペスコフ露大統領報道官は18日、EUの文書は具体的なメディアや記事を指定しておらず、非難には根拠がないと反論した。
ただ、20日付の露経済紙ベドモスチは「新型コロナは米英や中国が作成した」との内容を含む露メディアの報道が1月下旬以降で2千件超に達し、こうした言説が露国内で一定の支持を得ていると報じた。