【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利政策と、国債などを無制限に買い入れる量的緩和の継続を決めた。FRBは声明で、新型コロナウイルスの感染拡大が「経済活動の急減速と失業者の急増をもたらした」と指摘。パウエル議長は「すべての手段をとる」と述べ、企業の資金繰り支援を中心に追加策を検討する方針を示した。
声明は新型コロナ危機について、「中期的に景気への重大なリスクになる」とし、経済活動を停滞させる悪影響が長引く懸念があると示唆した。原油市場の低迷にも警戒感を表明した。
記者会見したパウエル氏は、膨大な失業者が生じたり、世界経済が低迷したりする打撃が、来年まで米経済を下押しする可能性があるとの見方を示し、景気改善を確信できるまで「利上げを急がない」と述べた。
パウエル氏は、4~6月期の米実質国内総生産(GDP)が「かつてない悪いデータになる」とし、失業率も「ふた桁」まで悪化するとの懸念を表明した。
FRBは3月、2度の緊急利下げで政策金利を事実上ゼロまで引き下げ、無制限の量的緩和も実施。企業の資金繰りを支えるため、コマーシャルペーパー(CP)や社債を買い取る緊急支援策に乗り出している。パウエル氏は「適切なら新たな方策もとる」と述べ、非常時に「最後の貸し手」としての役割があるFRBの権限を最大限、駆使して景気の悪影響を和らげる方針を強調した。