「細部までこだわる完璧主義者。金が絡むと特に口うるさかった」。公選法違反(買収)の疑いで逮捕された前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)について、周囲から聞こえてくるのは「金に細かい」というイメージだ。出勤中の車内では、政党支部の収支などあらゆる資料に目を通すことが日課だったという。
大学卒業後、松下政経塾などを経て、平成3年の県議会選挙で政治家としてのキャリアをスタートさせた。5年に初挑戦した衆院選旧広島1区では落選。小選挙区制となった8年の衆院選では広島3区で初当選を果たしたが、12年の選挙では再び涙をのんだ。
妻の案里容疑者(46)にも「集票能力がない」と指摘されるほど選挙では苦戦した。そのため、こまめに地元に戻っては地域の行事などに参加し顔を売ってきたという。
その一方で、官邸中枢からの評価は高い。19年8月から約1年間、法務副大臣も務めた。法務省OBによると、法相の秘書官には若手検事、副大臣には検事以外の職員が就くのが通例。だが「なぜ自分の秘書が検事ではないのか」と主張し、検事が充てられた。
法相に就任した昨年秋、大型台風で広島行きの航空便が欠航となった際は、地元の小さな祭りに参加するため、都内で移動手段を探し続けたという。秘書らは「大臣としての仕事を優先すべきでは」と疑問を呈するほどだったが、違法報酬疑惑が発覚したことで、わずか2カ月弱で法相を辞任した。