昨年7月の参院選広島選挙区をめぐり、地元議員らに多額の現金を配ったとして前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)=広島3区=と妻で参院議員、案里容疑者(46)=広島選挙区=が東京地検特捜部に逮捕された公選法違反事件で、克行容疑者が現金を渡した一部の地元議員に領収書を発行しないよう求めていた疑いのあることが20日、関係者への取材で分かった。特捜部は、克行容疑者が政治資金として適正な処理をする意志がなく、違法性を認識していた可能性があるとみて捜査を進めている。
国会議員から地方議員への資金提供は、政界の慣習として夏には「氷代」、冬には「餅代」などと称して頻繁に行われており、通常は政治資金規正法に基づき寄付として処理する。この際に、受け取った側の領収書の添付が必要になる。
関係者によると、広島県議の事務所スタッフが昨年6月、克行容疑者から領収書を発行せず現金20万円を受領。スタッフが後日、案里容疑者の陣営スタッフと電話で話した際に領収書について尋ねたところ「そのままでいい」と言われたという。
克行容疑者の逮捕容疑は昨年3~8月、参院選で案里容疑者の票の取りまとめを依頼するなどし、報酬として計約2400万円を地元議員や後援会関係者ら91人に供与。案里容疑者は克行容疑者と共謀し、5人に170万円を渡したとしている。5人のうち2人は克行容疑者から報酬を受けた91人に含まれるという。