新型コロナ治療剤開発に遅れる韓国、患者確保できずロシア遠征まで


セルトリオン研究陣が新型コロナウイルス治療剤開発に向けた抗体結合力試験をしている様子。[写真 セルトリオン]
セルトリオン研究陣が新型コロナウイルス治療剤開発に向けた抗体結合力試験をしている様子。[写真 セルトリオン]

米製薬会社ファイザーが新型コロナウイルスワクチン開発にスピードを出している。これに対し韓国の製薬・バイオ企業は臨床試験に参加する患者を確保することができず、新型コロナウイルス治療剤とワクチン開発に支障をきたしている。

セルトリオンは9月に新型コロナウイルス抗体治療剤である「CT-P59」の臨床第2相試験に入った。試験人数を300人に設定したが現在は52人だけが申し込んだ。必要な人数の6分の1水準にしかならない。意味ある研究結果を出すための時間は遅れるほかない。

薬物再創出方式で新型コロナウイルス治療剤を開発中の鍾根堂(チョングンダン)も事情が似ている。鍾根堂は7月に治療剤「CKD-314」の臨床第2相試験に入った。韓国で臨床試験に参加する患者を募集するが困難なことから海外に目を向けた。鍾根堂関係者は「9月からロシアで臨床第2相試験を始めた。患者をすぐに募集して第2相試験は仕上げ段階に入り込んだ」と話した。

臨床試験は治療剤の安全性と効果を確認する過程だ。食品医薬品安全処によると、10日基準で臨床試験を進めている韓国の製薬会社の新型コロナウイルス治療剤は16件だ。このうち11件が臨床第2相と第3相試験を同時に進行中だ。残りの5件は臨床第1相試験をしている。

臨床第1相試験では開発中の新薬を初めて人に投与して安全性などを評価する。臨床第2相試験は治療対象患者に新薬を投与し効果を探索する。臨床第3相試験は第2相の時より多くの患者に新薬を投与して安全性と効果を確かに証明する段階だ。

食品医薬品安全処のソ・ギョンウォン医薬品審査部長は「韓国企業の新型コロナウイルス治療剤開発は臨床試験段階から速度が遅れている」と話した。米国で抗体治療剤を開発しているリジェネロンなどは臨床第2相試験を終わらせて第3相試験に入った。米国のトランプ大統領もこの薬を使った。

韓国で新型コロナウイルスの新規感染者は1日100人前後だ。米国では1日10万人以上あふれる。それだけ韓国では臨床試験に参加する新型コロナウイルス患者を探すのが容易でない。新型コロナウイルスの軽症患者を対象にした臨床試験も難しい。防疫指針に基づき軽症患者は病院ではなく生活治療センターに隔離されるためだ。臨床試験参加を見慣れないものと考える感情も障害物だ。

韓国政府は4月に新型コロナウイルス汎政府支援委員会を構成した。ここで新型コロナウイルス治療剤とワクチン開発を支援する。汎政府支援委員会のユ・ジュホン総括チーム長は「臨床試験手続きを簡素化するなど制度的に支援できることはすべて行っている。だが感染者が自発的に参加しなければならない」と話した。彼は「新型コロナウイルス治療剤で世界市場を先取りする機会なのに韓国は臨床試験の入口で止まっている」と付け加えた。

保健福祉部は新型コロナウイルス臨床試験の安全性を伝え、生活治療センターと地方医療院でも臨床試験ができるインフラを備える計画だ。保健福祉部傘下の国家臨床試験支援財団は新型コロナウイルス臨床試験サイトを開設して参加を督励している。ユ総括チーム長は「新型コロナウイルス治療剤は完治者の血液を濃縮したり抗体を選別して作るため安全だ。国民が新型コロナウイルス克服に向け臨床試験に参加することを期待する」と話した。



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