現代自動車グループの未来モビリティー担当組織「ニューホライズンズスタジオ」が開発した歩行する無人モビリティー「タイガー(TIGER)」。地面が険しいところでは四足で歩行し、平地では四輪で走る変身ロボット。 現代車グループ提供
現代自動車グループが歩行する無人モビリティー「タイガー(TIGER)」を公開した。険しい地形では四足で歩行し、平坦な地形では四輪で走る変身ロボットだ。モビリティーとロボティクス技術を融合し、移動の限界を越える新しい製品を提示したという評価が出ている。
◆モビリティーとロボティクスの融合
現代車グループは10日、公式ユーチューブチャンネルを通じてタイガーを初めて公開した。タイガーは「変身する知能型地上移動ロボット(Transforming Intelligent Ground Excursion Robot)」という意味の英語の単語の頭文字をつないだ名称。タイガーは最初のコンセプトモデルとして「X-1」と命名された。
タイガーは長さ80センチ、幅40センチ、重さ12キロほどだ。最も大きな特徴は4つの車輪が付いた足。4つの車輪と4つの足が結合し、前例のない移動性を備えた。険しい地形や障害物があるところでは四足で歩く。平坦な地形では足を内側に入れて四輪駆動車両に変身して走る。道がふさがれば歩行能力を利用して一般車両が行くことができないところに移動した後、再び走行する。
前進・後進はもちろん、左右にも簡単に方向を変えることができる。現代車グループは「知能型ロボット技術と車輪を結合し、オフロード車も走れない険しい地形でも進めるよう設計した」と説明した。
タイガーの活用分野は幅広い。都心はもちろん奥地など一般車両が接近しにくい地域に商品を送る際、タイガーを利用できる。災難現場など人が入るのが難しいところに応急物品を輸送する時も活用可能だ。無人航空機(UAV)と結びつけて遠距離を飛行した後、着陸してから輸送することもできる。
タイガーは内部に貨物積載室があり、物品の保護にも有利だ。ロボットの足で常に水平を維持し、不規則な地形でも安全に運送できる。このため従来のサスペンションを装着した車両よりも多く積載できる。
◆物流ロボット市場に進出
タイガーは現代車グループの未来モビリティー担当組織「ニューホライズンズスタジオ」で開発された。昨年9月に米シリコンバレーでスタートした同スタジオは、未来のモビリティーを具体化する役割を担う。タイガーがその最初の作品だ。スタジオは世界最大のIT・家電展示会「CES2019」で現代車グループが公開した歩行するモビリティー「エレベイト」を基盤にタイガーを開発した。
タイガーの開発過程では複数の企業との協業があった。人工知能(AI)基盤のエンジニアリング設計分野トップ企業「オートデスク」、コンセプトデザイン専門企業「サンドバーグ・フェラー」などが代表的な例だ。ニューホライズンズスタジオのジョン・ソ常務は「全世界の革新企業と協力して未来モビリティーの新しい可能性を提示したい」と述べた。
現代車グループは昨年12月、世界最高ロボット企業ボストン・ダイナミクスを約1兆ウォン(約950億円)で買収し、ロボット技術と未来モビリティーの本格的な結合を始めた。周辺状況の変化を直ちに感知・対応するロボット技術は完全自動運転の実現に必須だ。
現代車グループは今後、市場規模が大きく成長の可能性が高い物流ロボット市場に参入する計画だ。続いて建設現場の監督や施設のセキュリティーなど各種産業で案内・支援の役割ができるサービス型ロボット事業も開始する。長期的にはヒューマノイドロボット事業にも進出するという。