世界的なアパレル企業として2位の座を狙うまでに成長したユニクロは、コスパが良く、手に入れやすく、品揃え豊富。庶民にとって強い味方である。しかしそれだけに、気がつけば手持ちのアイテムがほぼユニクロになっている「全身ユニクロ」といった事態に陥りがちだ。ついついユニクロを手に取ってしまう人のために、冬のユニクロ回避術を考えてみたい。(フリーライター 鎌田和歌)
● 「伸びるはずだわ……」 手に取りやすいユニクロアイテム
ユニクロ(ファーストリテイリング)の好調が伝えられている。2024年8月期決算は売上高が前年比12.2%増の3兆1038億円で、海外(特に北米と欧州)での売り上げが伸びているのだという。
国内でも東京や京都など、観光地にあるユニクロ路面店は外国人観光客の姿が目立ち、2015年からスタートした訪日外国人観光客向けの消費税免税サービスも奏功しているように見える。
10月の記者会見で柳井正会長兼社長は好機を見据え、「数年のうちに5兆円」「その先にさらに10兆円を目指す」と語ったと伝えられている。
アパレル企業で売上高が3兆円を超えるのは、ZARA(5兆8000億円)、H&M(3兆3000億円)とユニクロのみ。上位2社を追い上げるユニクロとしては、H&Mはすでに射程に入ったと見ているのだろう。
国内企業へのひいきと言われればそれまでだが、個人的にはZARAやH&Mよりもユニクロの方がずっとお世話になっている。シンプルで汎用性の高いデザインが日本人にとって「無難」であるし、ヒートテックやエアリズムは機能性も打ち出し方も天晴れである。
日本人が好む理由やその長所を挙げればキリがないが、やはり価格以上の機能性があると感じられるし、迷ったらユニクロを選べばまず間違いない安心感がある。
品揃えやカラーバリエーションが豊富でなので、かぶりそうで案外かぶらない(かぶっていてもシンプルなだけにバレづらいということもある)。特に冬は、マフラー、手袋、帽子などの防寒具が安価で手に入りやすい。フラッと立ち寄れば、予定外のものも買ってしまう「ついで買い」を誘う陳列棚にも工夫がある。
デザイン性が「無難」と書いたが、センスのいい人はユニクロの商品だけで全身コーディネートをしてもオシャレに見えるし、このような「#ユニクロコーデ」はSNSで検索しても大変参考になる。
また、ANYA HINDMARCHやMarimekkoなどの数々の人気ブランドとのコラボ商品にも注目が集まっている。今季の店頭には、ANYA HINDMARCHの特徴である大きな目のついたニット帽(ヒートテックニットビーニー)や手袋(ヒートテックニットミトン)が並び、ついつい手に取ってしまうかわいさがある。
ちなみに、ユニクロは「安い」というイメージがあったが、若者層はSHEINやTemuといった中国発の格安オンラインショップの利用が増えていることから、ユニクロは相対的に「やや高級」「国内メーカー品」といった、信頼感のおけるブランドに格上げされている向きもあるように感じる。
● 「それでいいのか?」 全新ユニクロを回避する6つの教え
しかし、とはいえ、である。
便利で手に入りやすく、コスパが良くて安心感がある。だからこそ、気づけば身の回り品が「ほとんどユニクロ」という事態が発生しがちなのである。
全身ユニクロであっても別に悪いことをしているわけではないが、アンダーウェアからアウターまですべてユニクロだと、熱烈なファン以外はさすがに飽きが来るし、いざというときのためには他の選択肢も用意しておきたい。
そこで今回は、ユニクロだらけにならないための回避術を、ユニクロとほどよい距離感で付き合っている方々と一緒に考えてみた。