日銀は23、24日の金融政策決定会合で、政策金利の水準を現在の0・25%程度から0・5%程度に引き上げる方向で検討している。2025年春闘で高水準の賃上げが実現し、経済・物価情勢が想定通り改善するとの見方を強めているためだ。20日に予定されるトランプ次期米大統領の就任演説と、金融市場の反応を踏まえて最終判断する。
日銀が今回利上げを決めれば、昨年7月以来、半年ぶり。政策金利が0・5%程度になれば、リーマン・ショック直後の08年10月以来、17年ぶりの高水準となる。
植田和男総裁は15日、次回会合で「利上げを行うかどうか議論し、判断したい」と表明した。氷見野良三副総裁も14日に同様の発言をした。正副総裁が会合直前に相次いで追加の利上げを示唆したことで、市場には日銀の早期利上げ観測が急速に広がっている。
植田氏は前回の24年12月会合後の記者会見で、利上げを決める材料が「もうワンノッチ(1段階)欲しい」と述べ、賃上げの動向と米新政権の政策を見極める考えを示した。このうち賃上げに関しては、年始の企業経営者の発言や支店長会議の内容から、前向きな声が多いと評価している。
もう一つの焦点であるトランプ氏の政策では、関税の引き上げや大型減税が米国経済や市場に与える影響が懸念されており、日銀は20日のトランプ氏の就任演説でそれらを見極めたい考えだ。
24年12月会合では、田村直樹審議委員が0・5%程度への利上げを提案したものの、反対多数で退けられた。ただ、その後に公表された会合の「主な意見」には、「利上げを判断する局面は近い」など前向きな意見が複数みられた。