高市早苗衆院議員(元総務相、自民党元政調会長)は国民の間で、憲政史上初の女性首相に最も近いと目されている政治家であろう。今回のトランプ・ショックを冷静に分析し、関税交渉戦略から「令和の黒船」としてチャンスに転じる方策まで、明快な座標軸を提示してくれた。
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【前編】では、いわゆる「トランプ関税」について、アメリカとの交渉戦略や国内対策に関する持論を述べた。【後編】では、今永田町で最もホットなテーマである「消費減税」について、注目の主張を展開している。
(インタビューは2025年4月21日に実施しました)
【前後編の後編】
【政策ニュース.jp×紀尾井町戦略研究所:聞き手=市ノ瀬雅人/政治ジャーナリスト】
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過度な財源論避け「食べ物に困らない」生活を
――経済対策として与野党問わず消費税減税の主張がある。
(高市早苗氏、以下同)今年2月の食料の消費者物価指数は前年同月比でプラス7.6だった。そうすると、この大変な物価高に対応するため、消費税の軽減税率の8%分だけを時限的にゼロにして、標準税率の10%分はそのまま据え置くという対策は効果があると考える。政府は「物価上昇を超える賃上げの実現」を言っているが、退職されたり、病気で入院されたりしている方、障害をお持ちの方、そのほかにも何らかの理由で働けない方などがおられる。こうした、賃上げに直接関係ない方々には効果が及ばないということがないよう、幅広く「食べ物には困らない」状況をつくることは最優先だ。
軽減税率部分だけを時限的にゼロにし、経済が相当強くなってきた段階で標準税率分を10%から12%にしたとしても、国民の皆様に説明をすればご理解いただけるのではないか。例えば、消費税の標準税率は英国20%、フランス20%、イタリア22%となっている。現在の日本の状況は緊急事態だと捉え、過度な財源論に傾斜せず、多くの方々が食べ物には困らない対策を講じる必要がある。その上で、お金に余裕のある人は、その分を他の消費に回していただければ、別途の経済的効果が出てくると思う。
自民党の森山裕幹事長のご意見とは少し違う部分があるかもしれないが、署名活動をしてでも食料品が高いという国民の皆様の悩みに応えたいとする中堅若手の自民党国会議員たちがおり、頻繁に意見交換をしている。