日産とトヨタ、両社が「EV電池工場新設の計画見直し」を相次いで発表。中国勢のEV(電気自動車)やプラグインハイブリッド車が急成長する市場で、日本の自動車メーカーの開発の遅れを露呈する形となりました。もはや待ったなしの状況の中で、日産には「プライドは傷つくかもしれないが、日本経済のためにトヨタとやるべきこと」が残されていました。ライバル関係にある2社が手を組むことになりますが…ホンダと統合破談した日産にはやはり難しいのでしょうか。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
【画像】残念ですが、国産車では足元にも及びません…BYDの「軽EV」と国産首位・日産サクラの圧倒的な性能差
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● トヨタとホンダで大きく異なる 「トランプ関税の分析結果」
中国のEVとプラグインハイブリッド車が世界市場を席巻しはじめている最中に、日産とトヨタが相次いで国内でのEV電池工場計画を見直すことを発表しました。
トヨタは佐藤恒治社長が就任時に発表していた2026年の新エネ車(EVとPHV)の世界販売目標150万台についても修正する方針を明らかにしています。
計画が見直されるのはどちらも福岡県に新設される予定だった工場で、日産は北九州市に1533億円で計画していた工場建設について断念することを発表しました。一方でトヨタは苅田町に次世代電池の建設用地を取得していましたが、建設計画を当面延期する方針を固めたそうです。
自動車業界にいったい何が起きているのでしょうか?これから日本の自動車産業はどうなるのでしょうか?解説してみたいと思います。
これらの動きはひとことで言えば両社の企業戦略に起因します。とりわけ関係するのが短期戦略で、そのきっかけとなったのがトランプ関税です。
ちょうど今週、自動車各社の決算が出揃いました。決算会見でもとりわけ注目されたのは直近の決算ではなく、トランプ関税を織り込んだ2026年3月期の各社の見通しです。この見通しが各社で大きく分かれていました。