国民民主党・玉木代表、石破首相の現金給付案を痛烈批判「嘘つき」「ご都合主義」

国民民主党の玉木雄一郎代表は14日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、石破茂首相が物価高対策の一環として示した国民1人あたり一律2万円の給付方針を厳しく非難した。玉木氏は石破首相を「嘘つきだ」「ご都合主義が過ぎる」と断じ、その決定プロセスとタイミングを強く批判している。この現金給付案は、夏の参院選公約に盛り込むよう首相が自民党に指示したと報じられている。

党首討論でのやり取りとその後の発表の矛盾

問題の発端は、すでに与党側の給付方針が報じられていたにも関わらず、11日に行われた党首討論での石破首相の対応にある。玉木代表は首相に対し現金給付を行う意向があるのかを再三ただしたが、石破首相は「報道は承知していますが、政府の中で検討したということはありません」などと明言を避け、のらりくらりとかわした。

しかし、それからわずか2日後には給付方針が発表された。これに対し玉木氏は、「石破総理、やはり配るんですか。わずか2日前の党首討論で『単年度であっても税収の上振れを国民に還元するような財政状況にはない』と明言しておきながら」と、首相の発言と行動の明らかな矛盾を指摘した。さらに、13日に告示された東京都議会議員選挙の告示日であり、来る参院選告示の約3週間前というタイミングでの発表であることから、「都議会議員選挙の告示日、参院選告示の3週間前に現金給付を発表する。矛盾している。失礼な言い方になるが、嘘つきだ」と、その選挙対策的な側面を強く糾弾した。

国民民主党の玉木雄一郎代表が記者会見や国会などで発言する様子。石破首相の現金給付案を批判。国民民主党の玉木雄一郎代表が記者会見や国会などで発言する様子。石破首相の現金給付案を批判。

「年収の壁」論争と税収の使途への批判

国民民主党は、かねてより「年収103万円の壁」の178万円への引き上げを求める立場であり、税収の上振れ分はあくまで「減税」という形で納税者に還元すべきだと訴えている。玉木代表は、国民民主党側が提案した際には税収の上振れを「財源ではない」としていた政府・与党が、自らの選挙対策のためには突然これを「財源」とする姿勢を問題視した。

これについて玉木氏は「自分たちの選挙対策のためには、いきなり税収の上振れが『財源』になる」として、「ご都合主義が過ぎるのではないか」と厳しく批判の矛先を向けた。

財源問題と党首討論の意義への疑問

「年収の壁」を178万円に引き上げるために必要な追加財源は約3兆円弱と試算されており、今回の現金給付にも3兆円半ばと同程度の財源が必要とされている。玉木代表は、改めて「上振れた税収は納税者に『減税』でお戻しするのが筋であって、間違っても、自民党や公明党が選挙対策として好き勝手使っていいお金ではない」と力説した。

そして、党首討論での石破首相とのやり取りを振り返り、「党首討論でのやり取りはなんだったんだ。党首同士が渾身の思いでぶつかる党首討論で、一国の総理が平気で嘘をつくようなら、まともな議論など成り立つはずもない」と、政治における誠実さの欠如が民主的な議論を不可能にすると批判した。さらに、「税金で票を買うようなことを許すな」と訴え、今回の給付決定が選挙を見据えた「バラマキ」であるとの強い疑念を示した。

玉木代表のSNS発信と国民の反応への言及

玉木代表は、今回の現金給付案に関して12日にもXでポストしており、改めてこれを引用する形で今回の批判を展開した。この12日のポストが1800万回を超えるインプレッションを得ていることに触れ、「引用したポストのインプレッションが1800万回となっている。国民、納税者も呆れているのではないか」と記し、国民の関心と批判的な反応が大きいことを示唆した。

最後に、国民民主党の政治姿勢として「国民民主党は、税金を集めて使う側の立場に立った政治ではなく、税金を払う側の立場に立った政治に変えていきます」と改めて表明。13日に告示された東京都議選や来たる7月の参院選を念頭に、「手取りを増やす夏にする」と決意を締めくくった。

参照:Yahoo!ニュース / 日刊スポーツ