著者は紀子さまの実父である故・川嶋辰彦名誉教授の手伝いをしていた妻の縁から、秋篠宮ご夫妻と30年来の関係を築いてきました。この記事では、その長きにわたる交流の始まり、特に著者が新婚当時の秋篠宮さまと紀子さまに初めてお会いした際の印象と、そこから感じ取ったご夫妻の人柄について詳述します。世間のイメージとは異なる秋篠宮さまの素顔に迫ります。
紀子さまのご縁が結んだ秋篠宮ご夫妻との絆の始まり
著者の妻は大学卒業後、学習院大学経済学部で副手として勤務し、教授方の資料整理などを手伝っていました。中でも、紀子さまの父君にあたる故・川嶋辰彦名誉教授のお手伝いを頻繁に行っていたそうです。その自然な流れで、当時まだ高校生だった紀子さまとも顔見知りになりました。この妻のご縁がきっかけとなり、私たち夫婦は秋篠宮ご夫妻と知り合うことになったのです。
京都での最初の対面:新婚当時の秋篠宮ご夫妻
初めてお会いしたのは1991年2月上旬、京都の老舗旅館でした。前年1990年6月29日にご結婚されたばかりのお二人は、ご友人と共にプライベートな旅行中でした。私的なご旅行ながら天皇陵をご参拝されるなど、日程を過ごされました。
日本の皇室、秋篠宮ご夫妻に関するニュース記事のイメージ写真
午後5時半頃から約1時間、ご夫妻と私たち夫婦の4人で懇談。秋篠宮さまはグレーのダブルスーツにえんじ色のネクタイ姿、紀子さまは濃紺のスーツに左胸にブローチを飾られていました。私が結婚生活について尋ねると、秋篠宮さまは「結婚して変わったことですか?一番、変わったことは酒量がだいぶ減ったことですかね」と率直にお答えになりました。その様子に、紀子さまも「お酒とタバコに気をつけてくださいね」と優しく微笑みながら話しかけていらっしゃいました。秋篠宮さまは初対面の私たちにも、飾らず、素直にご近況を語ってくださったのが強く印象に残っています。
「やんちゃ」イメージを覆す繊細で物静かな素顔
当時の秋篠宮さまは現在もスリムですが、今よりもさらに痩せた印象で、右腕に金色のブレスレットをされていました。「やんちゃな次男坊」といった世間のイメージが喧伝されていただけに、私はその繊細で物静かな第一印象に、良い意味で驚かされました。
同時に、話しぶりからは、上皇ご夫妻(当時の天皇皇后両陛下)や兄君、妹君、そしてご自身の置かれた皇族という環境に対して、良い意味で少し距離を置いて冷静かつ客観的に見つめていらっしゃるのではないか、との印象を強く持ちました。ここで言う「距離を置く」とは、立場からの逃避や無関心ではなく、皇族としての自分自身を冷静かつ客観的に捉えている、大人びた姿勢をお持ちである、という意味です。こうした姿勢を、直接お話させていただく中で私は素直に感じ取ったのです。初対面にもかかわらず、少し失礼かと思いつつも、最後に私はお子さまのご予定について尋ねてみました。しかし、それはやんわりとはぐらかされてしまいました。秋篠宮さまと紀子さまにお会いし、ほんわかと温かい心地になった私たちは、老舗旅館を後にした次第です。
皇族として「特別な存在」に見せたくないという思い
初対面で感じた秋篠宮さまの「冷静かつ客観的な姿勢」は、ご自身やご一家を「特別な存在」として見せたくないというお考えにも通じるものだと感じています。
京都での最初の対面で、世間のイメージと異なる秋篠宮さまの繊細さ、物静かさ、そしてご自身の立場を冷静に見つめる客観的な姿勢を感じ取りました。この出会いが、著者の長年にわたる秋篠宮ご一家との交流の始まりとなりました。
参照文献:
江森敬治『悠仁さま』(講談社)