米メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の銀行口座から約1700万ドル(約24億5000万円※1ドル=144円換算)を不正に送金し、さらに虚偽の納税申告を行ったとして、銀行詐欺罪などで有罪判決が確定した元通訳の水原一平氏(40)が、6月16日についに連邦刑務所に収監された。
連邦地裁は当初、水原氏の家族や友人の面会などを考慮し、南カリフォルニアの連邦矯正局(BOP)施設への収監を推奨していた。しかし、最終的にBOPが決定した収監先は、水原氏が拠点を置いていたロサンゼルスから遠く離れた、東海岸のペンシルベニア州にあるアレンウッド・ロー連邦矯正施設となった。
2024年6月4日、ロサンゼルスの連邦裁判所に出廷した水原一平氏。大谷翔平選手の口座からの不正送金問題で有罪が確定し、収監されることとなった。
刑期と課された巨額の賠償金
水原氏には、合計で4年9カ月の連邦刑務所での服役に加え、刑期満了後に3年間の「監視付き釈放」が付されることが命じられている。また、経済的な責任として、大谷選手から窃取した金額と同額の1700万ドル(約24億5000万円)の賠償と、米内国歳入庁(IRS)への追徴課税115万ドル(約1億7000万円)の納付も義務付けられている。
これらの支払総額は日本円にして約26億円にも上る。水原氏は服役中、監視付き釈放期間中、そして日本に強制送還された後もこの多額の負債を返済し続けなければならない。一般人にとっては一生をかけても支払いきれないほどの金額であり、手記出版などでまとまった収入を得て返済に充てるしかないとの見方がある一方、そもそも全額の返済が現実的には想定されていない可能性も指摘されている。
収監先の連邦刑務所:ペンシルベニア州アレンウッド・ロー
連邦矯正施設の警備レベルは、「ミニマム(最小限)」「ロー(低)」「ミディアム(中)」「ハイ(高)」の4段階に分類されるのが基本だ。詐欺や横領といったホワイトカラー犯罪で有罪となった者は、警備態勢が最小限か低レベルの施設に収監されるケースが多い。アレンウッド・ロー連邦矯正施設は、この分類における低レベル警備の施設に該当する。そのため、殺人犯や薬物ギャングといった凶悪犯はほとんど収容されていないとみられている。遠方への収監は、水原氏にとって面会などの機会が著しく制限されることを意味する。
返済の現実:26億円の壁
水原氏に課された約26億円という賠償金と追徴課税は、極めて高額であり、その全額を返済することは困難を伴うと見られている。この金額は、個人が短期間で稼ぎ出せる額を遥かに超えているため、具体的な返済計画やその実現可能性については、今後の動向が注目される。法廷では、水原氏が被害者への賠償に努める姿勢が示されたが、その道のりは非常に厳しいものとなるだろう。
水原一平氏は、大谷翔平選手からの不正送金という重大な罪により、約5年の懲役と巨額の賠償・追徴課税という厳しい判決を受け、ペンシルベニア州の連邦刑務所での服役を開始した。ロサンゼルスから遠く離れた施設での収監は、新たな生活の始まりであると同時に、長期間にわたる社会からの隔離と、重い経済的負担に直面することを意味する。