トランプ関税、日本への30-35%引き上げ迫る?日米貿易交渉は大詰め

アメリカのドナルド・トランプ大統領による対日関税引き上げ施策、通称「トランプ関税」に関する日米貿易交渉が最終局面を迎えています。トランプ前大統領は今年4月、日本に対し現在の10%から24%、さらに将来的には30%から35%へと関税を大幅に引き上げると表明しました。この表明後、90日間の交渉猶予期間が設けられましたが、その期限が目前の7月9日に迫っています。トランプ氏は、米国が日本との間で抱える莫大な貿易赤字に言及し、「非常に不公平だ」として期限延長を否定しています。

トランプ大統領が日米間の関税問題について語る様子トランプ大統領が日米間の関税問題について語る様子

日本側は赤沢亮正経済再生担当大臣が複数回にわたり訪米し、交渉を重ねてきましたが、多くがアポイントメントなしの訪問となり、商務長官との面会は短時間にとどまるなど、主要閣僚との直接対話は難航しています。この状況に対し、国内からも日本の交渉姿勢への批判の声が出始めています。

トランプ氏との交渉の難しさ

海外各国も「トランプ関税」への対応に苦慮していますが、日本は赤沢大臣が精力的に訪米を続けています。なぜトランプ氏は今このタイミングで、対日相互関税の30〜35%への関税引き上げに言及したのでしょうか。第1次トランプ政権時に貿易協定交渉に携わった関西学院大学の渋谷和久教授は、これを「トランプ大統領お得意の脅し」と分析します。ロシアや中国には効かなかったものの、NATO諸国への国防費増額要求やカナダへのデジタル課税撤回要求には脅しが効果を発揮した成功体験が背景にあると指摘しています。トランプ氏が苛立ちを見せながら発言したことについて、渋谷氏は「あそこまでイライラさせる日本の交渉力は意外に大したものだ」と評価する一面もあります。

アメリカの対日貿易赤字の推移を示すグラフアメリカの対日貿易赤字の推移を示すグラフ

日本の交渉姿勢への評価

赤沢大臣の度重なる訪米、特にアポイントメントなしでの訪問については、日本側が弱気であるとの指摘もあります。2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、赤沢大臣の「格下の格下と会ってくれた」という表現が、かえってトランプ氏に「偉くない人と会っても仕方ない、自分の威厳が下がるだけだ」と思わせた可能性があると指摘しました。文化通訳のネルソン・バビンコイ氏も、必死さがマイナスに働き、アポイントが取れない状況は「日本が舐められている」「相手にしなくても来るものだと思われている」ことの表れではないかと述べています。

過去の日米交渉から見る課題

一方で、第1次トランプ政権下での日米貿易交渉に直接関わった渋谷教授は、その時の交渉の難しさを振り返ります。ライトハイザー通商代表と茂木大臣による初回の交渉では、アメリカ側は「日本は貿易黒字、アメリカは貿易赤字、アメリカは被害者」という主張に終始し、日本が一方的に譲歩すべきという立場から始まりました。最初の2回はアメリカ被害者論でほとんど進展がなく、3回目になってようやく具体的な議論に入れたといいます。日本の話を聞いてくれるようになったのは4回目の交渉からだったと明かし、「アメリカ相手に交渉するのは相当な忍耐力、粘り強さがなくてはいけない」とその困難さを強調しています。

結論

日米間の相互関税を巡る交渉は、7月9日の期限が迫る中で依然として予断を許さない状況が続いています。トランプ氏の「脅し」戦略と、それに直面する日本側の交渉は困難を極めています。過去の経験からも、アメリカとの交渉には粘り強い姿勢と深い忍耐力が必要であることが示唆されており、今後の展開が注視されます。

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