子どもの地頭は「言語力」で決まる!専門家が語る、家庭でできる伸ばし方

「地頭(じとう)が良い」という言葉をよく耳にしますが、そもそも地頭とは何でしょうか。生まれつきの才能なのでしょうか、それとも後天的に身につく力なのでしょうか。日米で教育に長年携わってきた経験から言えば、地頭が良い子どもたちの共通点は「言語力の高さ」にあります。

見聞きしたことを正確に理解し、自分のものとして吸収できる力。得た知識を再現したり、新たな状況に応用できる力。こうした言葉を捉える能力が高いほど、周囲とのコミュニケーションを通じて、次々と新しい知識を獲得していくことができます。地頭が良い人に共通する「問題解決能力の高さ」もまた、言語力と密接に関連しています。言葉、つまり情報を正しく理解し、分析し、問題の本質を見極める力が備わっていれば、学業はもちろん、日常生活のあらゆる場面で「賢い判断」ができるようになるのです。つまり、地頭の良さは「言語力」によって決まり、これは後天的に伸ばすことが可能です。

地頭と言語力の深い関係

言語力が高い子どもは、情報収集、理解、分析、そして思考のプロセスがスムーズです。これは、学校の授業内容を深く理解したり、難しい問題を解き明かしたりする基礎となります。特に、もともとコミュニケーション能力に長け、他者への関心が強い「共感者気質」の子どもの学力(地頭)を伸ばすには、「国語」に集中的に取り組むことが効果的です。国語力は、全ての教科の学習基盤となる重要な力であり、この力を伸ばせば、学校の勉強でつまづくことが少なくなります。言語力を鍛えることは、子どもの地頭を育み、将来にわたって役立つ思考力を養う上で不可欠なステップと言えるでしょう。

言語力を育む鍵:「読み聞かせ」の絶大な効果

国語力を鍛えるための最も効果的な方法の一つが、「読み聞かせ」です。親が本を読んであげることで、子どもは語られるストーリーをまるで映像を見るかのように頭の中でイメージします。このイメージを形作るトレーニングの積み重ねが、「見聞きした言葉を想像力を働かせながら理解する力」へと発展していくのです。

子どもが自分で本を読めるようになったからといって読み聞かせをやめてしまう親御さんもいますが、小学生になってもぜひ続けましょう。自分で本を読むとき、子どもは「文字を追うこと」に多くのエネルギーを使いますが、親が読み聞かせをしてくれると、安心して物語の世界に没入できます。同じ本でも、自分で読むのと読み聞かせてもらうのとでは、「理解力」に差が生まれるのです。

子どもの地頭と言語力を育む、親子での読み聞かせの様子子どもの地頭と言語力を育む、親子での読み聞かせの様子

幅広いジャンルの本が育む多様な力

読み聞かせる本の種類も、定番の絵本だけでなく、日本やアジアの昔話、グリム童話、イソップ寓話、アンデルセン童話といった世界の童話(寓話)など、幅広い分野から選ぶことが大切です。子どもたちは物語を通して、世界の文化、歴史、多様な価値観に触れることができ、自然と「考える力」が伸びていきます。

さらに、伝記や歴史上の人物の本など、世界の偉人たちの生き様を描いた本を読んであげることで、優れた人々の思考パターンや哲学を「共有する」ことができます。特に共感者気質の子どもは、登場人物への関心が強く、共感しやすい性質があるため、本から多くのことを学び取ることができるのです。様々なジャンルの本との出会いは、子どもの知的好奇心を刺激し、多角的な視点を養う手助けとなります。

子どもの可能性を伸ばす「強み育て」と習い事

子どもが社会の変化に翻弄されず、自分らしく幸せに生きていくためには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立することが不可欠です。この一生ものの武器となる「たくましさ」は、どのように育まれるのでしょうか。家柄や血筋、遺伝によるものではなく、親の学歴や職業とも直接的な関係はありません。断言できるのは、「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」によってたくましさは育つということです。

つまり、子育てにおいて最も優先すべきは「強み育て」なのです。強みは音楽でもスポーツでも勉強でも何でも構いませんが、習い事は、子どもの強みを育てる最高の機会を提供してくれます。だからこそ、習い事選びは「子育て成功」に直結すると言えるのです。子どもの気質や興味に合わせて適切な習い事を選ぶことは、その子の可能性を最大限に引き出す手助けとなるでしょう。

著書『「強み」を生み出す育て方』に掲載されている、子どもの気質別おすすめ習い事チャート著書『「強み」を生み出す育て方』に掲載されている、子どもの気質別おすすめ習い事チャート

まとめ

地頭の良さは生まれつきではなく、「言語力」に深く関連しており、後天的に育てることが可能です。言語力を育むには、「読み聞かせ」が非常に効果的であり、子どもの想像力や理解力を高めます。多様なジャンルの本を読むことは、子どもの視野を広げ、考える力を養います。そして、子どものたくましさを育む鍵は「強み育て」にあり、習い事はその絶好の機会です。子どもの隠れた強みを見つけ、それを伸ばしていくことが、子育て成功への道筋となります。お子様の気質や才能を深く理解することは、その子に合った「強み育て」を見つける第一歩となるでしょう。