政治家の発言は、常に国民の注目を集めます。時にはその一言が大きな波紋を呼び、政治生命を左右することさえあります。「政治家は発言に、“言って良いこと、悪いこと”、“言って良いとき、悪いとき”、“言って良い人、悪い人”がある。普段から気を配らなければならない」──これは田中角栄元首相の言葉です。彼自身も波紋を呼ぶ発言がありましたが、一方で「角栄節」として人々の心に残る言葉も多くありました。しかし、現代においては、残念ながら「気を配らなさすぎる」政治家の問題発言が後を絶ちません。直近でも、ある「米」に関する失言が原因で職を辞した人物がいました。
この度、老若男女1000人へのアンケート調査が行われ、「あなたが一番腹が立った政治家の発言は?」というテーマで、衝撃的な結果が明らかになりました。本記事では、そのランキングの中から、特に注目すべき発言と、それに対する国民の声をお届けします。政治家の言葉が私たちにどのような影響を与えているのか、改めて考えさせられる内容です。
政治家失言ランキングTOP10のイメージ画像
アンケート結果:腹が立った政治家の失言ランキング(20位~11位)
政治家の数々の問題発言や暴言の中から、特に国民の「腹が立った」と感じたものがランキング化されました。ここでは、20位から11位までを発表します(役職、肩書はすべて当時のもの)。これらの発言は、その背景や状況によって様々な批判を浴びました。
- 20位:「天皇中心の神の国」(森喜朗首相)
- 20位:「料亭行きたい」「BMW乗りたい」「JRに乗り放題」(杉村太蔵衆院議員)
- 19位:「あなたとは違うんです」(福田康夫首相)
- 18位:「(原発事故の放射線量は)ただちに影響はない」(枝野幸男官房長官)
- 17位:「(投票に行かずに)寝てしまってくれればいい」(森喜朗首相)
- 16位:「バカヤロー」(吉田茂首相)
- 15位:「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」(森喜朗五輪組織委会長)
- 14位:「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない」(松本龍震災復興担当相)
- 13位:「黒人は知能が低い」(中曽根康弘首相)
- 12位:「このハゲーっ!」(豊田真由子衆院議員)
- 11位:「LGBTQは生産性がない」(杉田水脈総務政務官)
ランキング入りした失言への声
ランクインした発言の中には、特に多くの批判や怒りの声が寄せられたものがあります。国民は政治家の言葉に対し、厳しい目を向けていることが伺えます。
発言が3つもトップ20にランクインした森喜朗元首相に対しては、アンケート回答者から「行動、発言が問題だらけの人間」(55歳・男性)という厳しい意見がありました。かつて首相として、また組織委会長として、その立場からの言葉の重みを問われる形となりました。
杉村太蔵氏は、初当選直後のコメントが大きな反感を買い、20位にランクイン。「議員は税金を自分の所有物と思っている。今でも偉そうにテレビでコメントしてると腹が立つ」(65歳・女性)という声は、彼の発言が単なる一時の失言として忘れられるのではなく、税金に対する感覚や政治家の姿勢そのものへの不信感につながっていることを示しています。
14位の松本龍震災復興担当相の発言は、東日本大震災の被災地を訪問した際の暴言として、特に強い怒りを買いました。「われわれは何もしない」と知事を突き放し、さらに報道陣に対して「今の最後の言葉はオフレコです。書いたらもうその社は終わりだから」と口止めともとれる発言をしました。これに対し、「宮城県民として許せない。今でもあのときの発言を思い出すと、怒りが湧き上がってくる」(55歳・女性)という、被災地の切実な感情が寄せられています。災害という緊急事態における政治家の言葉の無責任さが浮き彫りになった事例です。
12位の豊田真由子衆院議員による「このハゲーっ!」という秘書への暴言は、2017年に大きく報道され、社会に衝撃を与えました。「上下関係を利用した侮辱発言のためパワハラに該当」(29歳・男性)という声があるように、これは単なる失言に留まらず、パワーハラスメントとして問題視されました。中には「少し笑っちゃったけど、ヒドい。けど、石破に言ってほしい」(49歳・女性)という、特定の政治家への皮肉を込めたコメントもありましたが、多くの人にとって不快で許しがたい言葉でした。
11位の杉田水脈総務政務官による「LGBTQは生産性がない」という発言は、性的少数者への差別的な言論として強い批判を浴びました。個人の尊厳に関わる問題に対する政治家の認識が問われる発言であり、社会的な分断を深めかねない言葉として、今なお記憶に残っています。
政治家の言葉の重み
今回の「政治家失言ランキング」で明らかになったのは、政治家の言葉がいかに国民の感情や信頼に直接的に影響を与えるかということです。時に不用意な一言が、長年の政治活動で築き上げてきた信頼を瞬く間に失墜させることもあります。ランキングに挙がった発言の多くは、単なる言い間違いではなく、その政治家の価値観や認識、あるいは傲慢さや無配慮さが透けて見えるようなものです。国民は政治家に対し、高い倫理観と責任感を持った発言を求めています。今後、政治家には自身の言葉が持つ影響力の大きさを自覚し、より一層慎重な姿勢が求められるでしょう。
参考資料
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f555efa4461bd6398313eb3f3790544431a0f28