浜松市のガールズバーで発生した痛ましい事件。去る6日、店長の竹内朋香さん(27)と従業員の伊藤凜さん(26)が客の男に刺され、死亡が確認されました。この事件で、殺人の疑いで現行犯逮捕、翌7日に送検されたのは山下市郎容疑者(41)です。警察によると、山下容疑者は店の常連で、被害者二人に面識があったとされています。動機はまだ不明ですが、その犯行は一瞬の出来事でした。
浜松市のガールズバーで起きた事件で逮捕された山下市郎容疑者(41)が送検される様子
犯行の詳細:凶器「ククリナイフ」を使った瞬間
警察の調べによれば、山下容疑者は午前1時頃、伊藤さんを車に乗せて店に到着。その際、伊藤さんは脅されている様子だったといいます。彼は両手に刃渡り20センチのククリナイフを持っていました。このククリナイフは、ネパールの勇猛な部族が使う短剣であり、現在も軍の正式装備とされる殺傷能力の高い武器です。山下容疑者は入店後、まず接客中の竹内さんをククリナイフで襲撃。その様子を見て逃げ出した伊藤さんも追いかけ、背中を複数回刺したとみられています。
容疑者の「二面性」:知人が語る素顔
山下容疑者は一体、どのような人物だったのでしょうか。知人によれば、「女性よりプラモデルが好きで、携帯ゲームや家でゲームするのが好き。どちらかというと内向的」という一面がありました。10代で塗装業に入り、職人として長く働いていたとのことです。しかし、別の知人は「先輩にはへこへこするが、後輩や職歴が浅い子には厳しく、いじめていた」と語っており、人によって態度を変える側面もあったようです。
行きつけだった居酒屋の店員は、「横暴というより、礼儀正しい人。商品を出した時や帰る時に『ありがとう』と言ってくれた」と、別の印象を語っています。ただし、この店員は「扉を壊して出禁になった」という話を本人から聞いたとも証言しており、トラブルを起こす一面もあったことがうかがえます。
伊藤さんの「脅されている様子」と事件前の状況
亡くなった伊藤さんの父親は、今回の事件と直接関係があるかは不明としながらも、以前、伊藤さんから「好意を持って来てくれる客がいる」「常連さんみたい」という話を聞いていたと明かしました。当時は「助けてほしいという感じではなかった」「そこまで気にしてなかった」そうですが、相手は40代だと聞いていたといいます。
事件当日の朝、伊藤さんが山下容疑者と共に店に現れた際に「脅されているような様子を見せていた」という警察情報に加え、関係者への取材からは、二人が事件の2日前から音信不通になっていたことも判明しています。
警察の捜査:事件前のトラブルを視野に
警察は、伊藤さんが事件前から何らかのトラブルに巻き込まれていた可能性も視野に入れ、詳しい経緯や動機について捜査を進めています。
浜松市のガールズバーで発生した今回の悲劇は、容疑者の複雑な人物像と、被害者の一人が事件前から抱えていた可能性のある問題を示唆しています。両手に殺傷能力の高いククリナイフを持ち、逃げる相手をも追い刺すという残忍な犯行の背景に何があったのか、今後の警察の捜査による全容解明が待たれます。
参考資料
- テレビ朝日