鶴保庸介氏「能登で地震あったでしょ」発言が波紋、和歌山参院選応援演説で

参議院予算委員長の鶴保庸介氏が、和歌山での参院選応援演説中、「運のいいことに、能登で地震があったでしょ」と発言し、大きな波紋を広げている。この鶴保氏の失言は、自民党候補である二階伸康氏の選挙戦に影響を与えかねない事態となっている。

能登を「運がいい」と表現

鶴保氏は、石破茂首相の到着を待つ中、都市と地方に拠点を置く二地域居住の促進に関する話の中でこの発言をした。「金沢にいても輪島の住民票が取れるようになっていったんですよ。やればできるんじゃないかと私は思いました。チャンスです」と続けたが、被災地を「運がいい」と表現したことに批判が集まっている。

2025年7月8日、和歌山市内での参院選応援演説中に発言する自民党の鶴保庸介参議院議員2025年7月8日、和歌山市内での参院選応援演説中に発言する自民党の鶴保庸介参議院議員

被災地の地名にも言及

さらに鶴保氏は、被災地の具体的な地名にも言及。「能登で地震があった時、地震の上のほうであったのは、あの輪島だとか、あの…たま…なんだっけ、上のほうね、能登半島の北のほう……」と述べ、甚大な被害があった珠洲市の名前が出てこない場面も。現場にいた自民党の和歌山県議は、「鶴保、珠洲市のことも知らんのか」「能登半島の地名も勉強せずに石破首相の前で話そうとするんか」と小声で苦言を呈す支援者もいたことを明かした。

市役所機能への言及と反論

また、被災者の生活に触れ、「被災者は、金沢に(避難して)住んで、いちいち自分の被災した家をですね、点検しにいくような作業をずっとしておられた。輪島市の市役所もないのに、金沢市に住んで、新しい被災事業の補助金もらうのに自分の住民票をいちいち、市役所がまともに動いてもいないところにですね、3時間かけていくのはおかしいじゃないか」と発言。これに対し、輪島市役所近くで店を営む自営業者の男性は、「輪島市役所はありました。きちんと動いていた。電気も水も十分じゃない中で、職員は懸命に動いていた。職員を冒涜する発言は看過できない」と反論している。

選挙戦への影響

この一連の失言は、自民党が擁立する二階伸康氏の和歌山選挙区での当選に「とんでもないことをやらかした」「かなり厳しくなった」との見方が県議の間でも出ている。

鶴保氏の能登地震に関する不適切な発言は、被災者感情を逆なでするだけでなく、応援対象候補の選挙戦にも水を差す結果となり、今後の波紋が注視される。