参政党、YouTubeで急速に支持拡大か – 参院選に向けたネット戦略の現状

参議院議員選挙(7月20日投開票)が中盤に差しかかる中、政党のネット戦略、特にYouTubeでの影響力が増しています。昨今の選挙戦では、ネット上での支持拡大が大規模な得票に繋がる傾向が顕著であり、中でも参政党YouTube上で急速に存在感を高めていることが注目されています。本稿では、動画投稿者への取材を通じ、参院選に向けた参政党ネット戦略の現状と、それが支持獲得にどう繋がっているのかを探ります。

各党のYouTube公式チャンネル登録者数を比較すると、自民党13.9万人、立憲民主党4.4万人、公明党22.6万人となっています。ネット戦略に長けているとされる国民民主党は25.9万人、れいわ新選組は38.2万人と多くの視聴者を獲得していますが、さらに上を行くのが39.9万人の参政党です(11日時点)。

「熱量」が鍵?動画投稿者が語る参政党支持層

チャンネル登録者数約4700人、動画本数約90本のYouTubeチャンネル「にっぽん国民保守党」を運営する30代会社員のAさんは、「参政党支持者の熱量はちょっと異常だなと思う瞬間もあります」と語ります。今年5月に開設されたばかりのチャンネルは、当初国民民主党に関連する国会討論や記者会見の切り抜き動画を中心に投稿していました。

しかし、6月中旬から参政党に関する動画投稿を始めると、再生回数が急増。チャンネル登録者数も3倍になり、収益化に成功したといいます。「初めは、パソコンや画像編集ソフトを買った初期投資を回収できればいいやと思っていたんですよ。でも、参政党の動画をアップした翌朝、広告収入を確認したら一気に跳ねあがっていて驚きました。今は副業ですけど、この調子なら本腰を入れようかなと思っちゃいそうですよね。ほかの投稿者たちもそうやってのめり込んでいくのかも……」

動画再生数に見る「ネット上の風向き」の変化

Aさんのチャンネルの動画リストを見ると、国民民主党の動画は再生回数が1000回に満たないものが多いのに対し、参政党の動画は大半が数万回再生されています。なかでも東京選挙区出馬の女性候補・さや氏を「最強の新人現る!」として紹介した、街頭演説切り抜き動画は30万回再生のヒットとなりました。

「今ネット上が吹いているのは、国民民主党よりも参政党です」とAさんは分析します。都議選で3議席を獲得した後、梅村みずほ参院議員が入党して現職の国会議員が5人という政党要件を満たしたことで、メディア露出が増加。期待と注目度が高まっているのをとてつもないインパクトで感じている、と述べました。

参院選に向けYouTubeで存在感を増す参政党の神谷宗幣代表参院選に向けYouTubeで存在感を増す参政党の神谷宗幣代表

神谷代表のカリスマ性と「ショート動画」の親和性

特に人気を集めているのが同党の神谷宗幣代表だといいます。実際YouTube上では、神谷代表演説動画があふれかえっています。その背景についてAさんは、「神谷さんの話し方は力強く抑揚があるので、30秒程度のショート動画として切り取っても、視聴者を引きつけるだけの魅力とネタがある」と話します。

「自民党への怒り」が求める「受け皿」

Aさんは長年、「選挙はどうせ自民党が勝つし、それでいい」との思いから投票に行ったことがなかったそうです。しかし、日本経済の停滞や、裏金問題が浮き彫りになる中でフラストレーションを募らせ、政治への関心を持つようになりました。昨年の衆院選で、飛ぶ鳥を落とす勢いの国民民主党に「日本が変わるかも」と希望を感じ、初めて一票を投じたといいます。

参政党 神谷宗幣代表の過去に関するYouTube切り抜き動画を紹介するチャンネル画像参政党 神谷宗幣代表の過去に関するYouTube切り抜き動画を紹介するチャンネル画像

「今年の参院選で、政治を変えたいという願いの受け皿になっているのは参政党保守層に限らず、多くの国民が自民党政権への怒りを爆発させています。自分の動画が投票率を上げる助けになればと思っています」とAさんは語りました。

Aさん同様、「元々は政治に関心がない若者の一人だった」と話すのが、YouTubeチャンネル「大人の意見が聞きたい【政治解説】」を運営する20代男性のBさんです。SNSで参政党の話題が盛り上がっていたことで興味を持ち、今年3月のチャンネル開設以降、参政党の政策や主張について解説動画や、演説切り抜き動画をアップし続けています。

結論

参議院選挙が迫る中、参政党YouTubeを活用した独自のネット戦略で支持を広げています。特に、一般の動画投稿者による切り抜き動画などが、党や神谷代表への関心を高め、熱狂的な支持層を形成する一因となっているようです。政治への不満を抱える層が、参政党を新たな「受け皿」として捉え、ネット上での活動が選挙戦における存在感を一層強めていることが伺えます。

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