新潟県上越市の中川幹太市長(50)が、高校時代を過ごした兵庫県三田市の米について「まずい。これ言ったら怒られるんですけど」「あまりおいしくない」などと繰り返し発言したことが、新たな波紋を広げている。この上越市長による最新の失言は、過去にも度重なる不適切発言を繰り返してきた経緯と重なり、来る市長選挙に向け、有権者からの厳しい視線を集めている。
三田市からの抗議と上越市民の異例の反応
中川市長の米に関する発言に対し、三田市の田村市長は「ふるさと三田を侮蔑し倫理観に欠けるもの」として正式に抗議状を送付する事態に発展した。さらに注目すべきは、この報道を受けてインターネット上のコメント欄などで、上越市民が自らの市長に代わって三田市民へ謝罪するという異例の現象が見られたことだ。《上越市民です。自分が住んでいる地域の首長がこのような発言をするのがただただ恥ずかしい限りです。三田市長、市民の方々申し訳ありません》といった声に加え、《もはやこの人の上から目線、相手に寄り添う配慮の無さは市長として失格》《本質的に政治家に向いていませんね。自治体の市長としてあるまじき発言です》など、地元住民からも中川市長の資質や人間性を問う厳しい批判の声が相次いでいる。
新潟県上越市の中川幹太市長。たび重なる失言が問題視されています。
相次ぐ過去の失言とその影響
こうした中川市長への厳しい声の背景には、就任以来、過去にも10件以上に及ぶ不適切発言や差別発言を繰り返してきた経緯が大きく影響している。2022年4月には「直江津には商店街がない」と発言し“不適切発言”が問題視され始めた。同年6月には市民対話集会で「人を傷つけたら、げんこつをくれるぐらいでいい」、翌年7月には市内の私立高校について「レベルが下の方にある」と失言が続いた。
特に上越市政に関して大きな話題となり、全国でも報道されたのが、市議会本会議での「多くは工場勤務で高校を卒業したレベルの皆さんで、頭のいい方だけが来るわけではない」という学力差別とも取れる発言だ。この発言に対して市役所には400件近い抗議が寄せられ、中川市長の辞職を求める市民集会も開かれるなど、大きな反発を招いた。度重なる失言の影響で、公務の式典や会合などで市長が謝罪を繰り返したり、表敬訪問を副市長が代理対応したりするなど、異例の事態が常態化していた。度重なる失言や議会での噛み合わない議論により、市民や他の市議からも市長としての資質が問われることが多くなっていった経緯がある。
市長選に向けた現状と今後の焦点
相次ぐ不適切発言により市民や議会からの信頼が揺らぐ中、中川市長は今年10月に実施される上越市長選挙への2期目立候補を表明している。6月18日の記者会見では、これまでの不適切発言を巡り、市議会に辞職勧告決議が出されたことについて改めて謝罪の意を示した。しかし、その後の今回の「三田市の米まずい」発言は、市長選まで数か月に迫るこの時期において、有権者にとって市長の去就を判断する決定的な材料の一つとなる可能性が高い。
結論
中川市長による一連の不適切発言、特に今回の三田市の米に対する発言は、過去の多くの失言問題と結びつき、市長の資質そのものに再び厳しい目が向けられる結果となった。来る上越市長選挙では、有権者はこれらの発言やそれに対する市長の対応を重要な判断材料とし、市政のリーダーに何を求めるかを厳しく見極めることになるだろう。
【出典】Yahoo!ニュース