アメリカの人気コメディアンでポッドキャスターであるアンドリュー・シュルツ氏が、かつて自身が票を投じたドナルド・トランプ前大統領に対し、「公約を守っていない」と公然と批判した。自身のポッドキャスト番組でトランプ氏の公約不履行に対する怒りを露わにした形だ。
シュルツ氏が指摘する「公約不履行」の内容
7月10日に公開されたポッドキャスト番組「Flagrant」のエピソードの中で、シュルツ氏は「自分が投票した内容とは正反対のことばかりしている」と発言。「戦争を終わらせてほしかったのに、むしろ資金を注ぎ込んでいる。予算削減を期待していたのに、逆に支出を増やしている」と、トランプ政権の政策に対する不満をぶつけた。
かつての支持者としての視点
YouTubeで200万人近い登録者を持つ人気ポッドキャスターであるシュルツ氏は、2024年の大統領選を前にトランプ氏を自身の番組に招いたことがある。この時のやり取りでは、トランプ氏の言葉に思わずシュルツ氏が笑い出す場面もあった。6月に掲載されたニューヨーク・タイムズのインタビューで、トランプ氏に投票したのは「民主党の制度への反発」であり、「市民から民主的なプロセスを奪っていると感じたから」だと語っている。彼は、ポッドキャストでトランプ氏に対し「体外受精へのアクセスの保護」「在留資格がなくても法を守る移民への“寛容”な態度」「外国との戦争の終結」という3つのテーマについて聞きたいと考えていたという。
人気ポッドキャスターのアンドリュー・シュルツ氏とドナルド・トランプ前大統領
ポッドキャスト「Flagrant」での激論
7月10日のエピソードでは、共演者のコメディアン、アカーシュ・シン氏やマーク・ガニョン氏、メディアプロデューサーのアレックスメディア氏らを前に、トランプ氏への不満を爆発させた。「SNSのDMで『お前の支持したやつがやってること見たか?』って言われるけど、『こんなのに投票した覚えはない』と言いたい」と、自分の支持行動とトランプ氏の実際の行動との乖離に苦言を呈した。
話題はトランプ政権の移民政策にも及び、シン氏は「送還するのは犯罪歴のある不法滞在移民だ」という大統領の約束は守られているのかと疑問を呈した。「犯罪者が本当に送還されているのかわからない。グリーンカードを持っている人たちがたくさん送還されているのは知っているし、実際には犯罪歴のない人も送還されている」とシン氏は述べ、「何も実現していない」と現状を批判した。
エプスタイン文書公開の約束破り
さらに、シュルツ氏は未成年への性的虐待で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタインに関する資料を公開するというトランプ氏の約束が果たされていないことにも苛立ちを示し、「我々の知性をバカにしている」と強く非難した。「明らかに諜報機関もトランプ政権も隠そうとしている。何かが変わったんだ。すべてを暴くという公約を掲げていたのに」と、怒りを露わにした。
若者有権者への影響と番組の変化
一部では、トランプ氏がシュルツ氏の番組を含むポッドキャストに出演したことで、若い男性有権者への影響力が高まり、選挙での勝利につながったと指摘する声もある。シュルツ氏は、最近はバーニー・サンダース上院議員やピート・ブティジェッジ前運輸長官らリベラル寄りのゲストを番組に招いている。ブティジェッジ氏は4月に出演した際に、トランプ氏が口にする公約を守ると考えない方がいいと語っていた。「私に言わせれば、彼はやると言っていたことの大半を実際にはやらなかった。約束していた大規模なインフラ法案も実現しなかった。(バイデン政権が)実際にやったんだ。彼は壁すらきちんと造らなかった」と述べ、シュルツ氏の現在の批判と共通する見解を示した。
結論
アンドリュー・シュルツ氏によるトランプ前大統領への公然たる批判は、かつて支持した人物でさえ、公約不履行に対しては厳しい目を向ける現実を示している。特に若い有権者への影響力を持つ彼のようなインフルエンサーの発言は、今後の政治的な議論において無視できないものとなるだろう。移民政策や重要文書の公開といった具体的な問題への言及は、有権者が政治家に対して何を求めているかを改めて浮き彫りにしている。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/985e79f0a84cf1b3e5ac4863ada2c63ef68840a3