7月20日に投開票される第27回参議院選挙、兵庫選挙区から立候補しているNHK党の立花孝志党首(57)が配信した動画とそれに続く行動が物議を醸している。立花氏は6月29日に配信した動画で、参院選兵庫選挙区の情勢について、自身が「当選圏内」である3番手につけていると主張。ホワイトボードに「1、泉 2、公明 3、立花 4、自民」と記し、自信を示した。兵庫県は定数3の選挙区であるため、この時点では立花氏が当選確実と見られていた状況だった。
参議院選挙兵庫選挙区に立候補中のNHK党・立花孝志党首。情勢調査の発言が物議を醸している。
神戸新聞本社前での演説と「内部情報」の主張
立花氏は、選挙公示日の7月3日、兵庫県神戸市中央区にある神戸新聞本社前で街頭演説を行った。この場で立花氏は、神戸新聞社を指差し、「そこの調査1番泉さん、2番公明党の高橋さん、3番私、4番自民党の方。そこの調査ですからね。そこの調査がなぜか僕のほうに来るんですよ。恐ろしい話ですね。もう情報止められないよ」と述べた。さらに、「簡単に言えば神戸新聞の中でも僕に情報くれる人がいるっちゅうことですね。はい。誰かは言いませんけどね」と語り、神戸新聞社の内部から情勢調査の情報を得たと主張した。
神戸新聞が発言を全面否定
しかし、その翌日である7月4日、神戸新聞NEXTは「立花氏の参院選演説「情勢調査聞いた」「3番が私」 神戸新聞は調査を行っていません」というタイトルの記事を配信し、立花氏の発言内容を全面否定した。記事は「神戸新聞社は同日までに参院選の情勢調査を行っていません」「神戸新聞社が同日までに情勢調査を行ったかのような情報は事実ではありません。誤った情報にご注意ください」と明確に述べた。また、7月5日朝に公開された情勢調査は、共同通信からの配信を受け、神戸新聞社が分析したものであると付け加えた。
立花氏の訂正と反論
神戸新聞の否定に対し、立花氏は自身の発言を訂正した。「正確には神戸新聞を含む情勢調査で私が3位になっているということを神戸新聞社の人から聞きましたということになります。神戸新聞は独自でやってないんですけども、神戸新聞社を含む情勢調査というのが正しいんですね」と述べた。そして、「神戸新聞の人から聞いたというのが正しいので、もし私が間違っているとすれば、神戸新聞の、記者の情報が間違ってるということになります。いずれにしてもこれはしっかり反論しておきます」とし、自身が嘘をついたわけではなく、情報源となった記者側の情報が誤っていた可能性を示唆した。
選挙ウォッチャーの見解と立花氏の後の発言
この情勢調査に関する立花氏の主張について、選挙ウォッチャーのちだい氏は疑問を呈している。ちだい氏は取材に対し、「3位という情勢調査を見たことがない」とし、兵庫選挙区では「7位だと思います。超話題になり拡散するニュースを作り出せなければ、ほぼほぼ当選は不可能だと思います」と述べ、立花氏の当選可能性は低いとの見方を示した。興味深いことに、立花氏自身も7月10日に配信した動画の中で、「13人立候補してるんですけど、ちょうど真ん中くらい、7番と言われていてですね。3人しか当選しないので。ぜひよろしくお願いいたします」と、当初の「3位」から「7位」に順位を修正し、自己言及していた。
斎藤知事票と「日本のトランプ」戦略
さらに、立花氏は政見放送において、叫びながら泉房穂氏や元兵庫県議・野々村竜太郎氏のモノマネを披露し、自身の選挙戦略について語った。「立花孝志は斎藤(元彦兵庫県知事)さんが昨年獲得した111万票、これを獲得してトップ当選。111万を超える得票を得られると確信をしています」と豪語した。そして、「私が国会議員になって斎藤さんを強い力でヘルプしていく。一緒になって兵庫県の皆様の安全と真実を発信する人たちをお守りしてまいります」と述べ、当選の目的の一つに斎藤知事の「ヘルプ」を挙げた。ちだい氏によれば、兵庫県には斎藤知事を応援する「元彦マダム」と呼ばれる支持層が一定数残っており、立花氏の戦略はこの層の票を取り込むことにあるという。赤いトランプキャップを被り、モノマネを交えつつ「私は日本のトランプであると自負しています」と熱く語る立花氏。果たして、今回の情勢調査を巡る騒動や独特な戦略が、彼の選挙結果にどう影響するのか、注目が集まる。
今回の騒動は、公表される選挙情勢とその情報の真偽、そして候補者による情報発信のあり方について改めて考えさせられる一例となった。立花氏の当初の「3位」という主張が、神戸新聞による否定、そして自身の後の訂正によって「7位」へと変化した経緯は、選挙戦における情報戦の複雑さを示している。果たして立花氏の訴えは有権者に届き、彼が描くような大量得票を実現できるのか、その結果は投開票日に明らかとなる。
出典:FRIDAYデジタル