宮城県、参政党神谷代表の「水道民営化」発言に抗議文提出 誤情報と指摘

20日投開票の参議院選挙期間中、参政党の神谷宗幣代表が行った街頭演説における宮城県の水道事業に対する批判に対し、宮城県は7月15日、「誤った情報を発信している」として、参政党へ謝罪と訂正を求める抗議文を提出しました。これは、政治と地方自治体の政策、特に重要な社会インフラに関する情報発信のあり方を巡る論争として注目されています。

発端となった神谷代表の発言

問題となったのは、7月13日昼に仙台市中心部で行われた街頭演説です。神谷氏は演説の中で、宮城県が水道事業の運営権を民間に売却した施策に言及し、「上下水道必要でしょ。国がやらないから、宮城県みたいに民営化しちゃうわけですよ。水道なんてめちゃめちゃ大事なわけですよ。なぜそれを外資に売るんですか」と厳しく批判しました。この発言は、県民の間に水道事業に対する誤解や不安を生じさせる可能性がありました。

参院選期間中、仙台市での街頭演説で演説を行う参政党の神谷宗幣代表。この演説内容について宮城県が誤った情報であると指摘し、抗議文を提出した。参院選期間中、仙台市での街頭演説で演説を行う参政党の神谷宗幣代表。この演説内容について宮城県が誤った情報であると指摘し、抗議文を提出した。

宮城県の反論と事実関係

宮城県水道経営課によると、県の水道事業は料金収入の減少による厳しい経営状況を背景に、施設の所有権や事業の最終責任を県が持ったまま、運営と管理を民間に委託する方式を2022年から導入しています。県はこの方式を「完全民営化とは決定的に異なる官民連携事業」と強調し、「民営化」という指摘は事実と異なると主張しています。

また、「外資へ売る」という神谷氏の批判についても、県は事実誤認であると反論。県は上下水道などの運営権20年分を、「株式会社みずむすびマネジメントみやぎ」に10億円で一括売却しています。この会社は、国内10社が共同出資して設立されたものであり、最大株主は国内企業です。唯一、外資系企業が出資しているケースがありますが、その企業も日本法人であると説明しています。この点からも、事業が「外資に売られた」という認識は正確ではないことが示されています。

県の抗議文と今後の対応

宮城県は抗議文において、「街頭演説を通じ、誤った情報を発信し、県民に対して過度な動揺や不安を与えるようなことは許されるものではない」と強く非難し、党としての謝罪と訂正を求めています。これに対し、神谷氏の秘書は取材に対し、「近日中に代表に共有し、どのような対応をするか検討する」と述べており、今後の参政党の対応が注目されます。

神谷代表の追加説明

13日の街頭演説後、報道陣の取材に応じた神谷氏は、宮城県への批判について「本当は国の政策の問題だと私は思っている」と説明しました。「国は通貨を発行できるが地方自治体はそれができないから、財源がなくなっちゃうんで、国がそういった社会インフラは守っていく必要がある」と、改めて国の役割の重要性を主張しました。さらに、外資であることの是非を問われると、「やっぱり外国資本だめですよね、でも日本でも民営化はだめだと思います。日本の会社であったとしても」と述べ、国内外を問わず、社会インフラの民営化そのものに反対する姿勢を示しました。

参考文献