宮城県の村井嘉浩知事は、参政党の神谷宗幣代表が街頭演説で「宮城県の水道事業を外資に売り渡した」と発言したことに対し、「誤った情報」であると強く反発。謝罪と訂正を求める抗議文を神谷代表側に提出したことを発表し、この問題が参議院選挙を前に波紋を広げています。村井知事は、「県の重要な水道事業が海外企業に売却されたなどということはあり得ない」と述べ、神谷代表の発言の真偽と影響に強い懸念を示しています。
村井知事の「非常に失礼な人」発言と神谷代表の批判
宮城県の村井嘉浩知事は、4日前(13日)に行われた参政党の神谷宗幣代表の街頭演説における発言に対し、「非常に憤っている」「本当に失礼な人だなと思っている」と強い言葉で反発しました。神谷代表は演説で、「国がやらないから、宮城県みたいに民営化しちゃうんですよ。おかしい、宮城県は。水道はめちゃくちゃ大事なわけですよ。なんでそれを外資に売るんですか、外資に任せるんですか。頭おかしいんですかって話ですよ」と、宮城県の水道事業が外資に売却されたかのように批判しました。これを受け、宮城県は7月15日に神谷代表側に対し、「誤った情報を発信している」として、速やかな謝罪と訂正を求める抗議文を正式に提出しました。
宮城県の水道事業の実態と知事の明確な反論
宮城県は、神谷代表の「水道外資売却」との主張に対し、事業の現状を具体的に説明し、反論しています。県が2022年から民間企業に委ねているのは、施設の所有権を県が持ったまま運営権を与える「コンセッション方式(運営権方式)」であり、完全な民営化ではありません。この事業を運営しているのは、10社の共同出資によって設立された特別目的会社(SPC)「みずむすびマネジメントみやぎ」です。このSPCの最大株主は、国内企業である「メタウォーター」で、議決権株式の51%を保有しています。外資系企業が保有する議決権株式は全体の18%に留まっています。
記者会見で参政党神谷代表の水道事業に関する発言に抗議する宮城県の村井嘉浩知事と、「間違っていたら謝罪する」と述べる参政党の神谷宗幣代表の様子
村井知事は、「管理を委託している会社の51%の議決権を持つ企業は、純粋な日本の会社であり、外資系の企業ではございません」と強調し、「宮城県は、水道事業を日本の企業であれ、海外の企業であれ、売り渡した事実は全くございません」と明確に否定しました。さらに、水道料金の改定も宮城県議会の議決によって決定されるため、最終的な責任は県が負っており、事業の根幹が外資に支配されることはないとの見解を示しています。この説明を通じて、県は神谷代表の発言が事実に基づかない「嘘」であると強く主張しています。
参政党代表の対応と今後の注目
宮城県が提出した抗議文に対し、参政党の神谷代表は「まだ見てないんですよ、来たのは聞きました。一回調べて、ちゃんと正式に回答したいと思います。私の記憶が間違っている場合もたまにあるので、そういった事実関係調べて、もし間違ってたら謝罪しますし」とコメントしました。宮城県は、参議院選挙の投票前日である7月19日までの対応を参政党側に求めています。今回の「水道外資売却」発言を巡る県知事と政党代表の対立は、選挙期間中の情報発信の正確性、そして公共事業の透明性に対する有権者の関心を高める結果となっています。今後の両者の対応と、この問題が選挙結果に与える影響が注目されます。
参考文献
- テレビ朝日 (2025年7月17日放送「グッド!モーニング」より)
- Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/037a886f9f0915f43b482d78d6f4f12ad1c451cd)