2024年7月18日、劇場版アニメ『鬼滅の刃 無限城編』が公開され、午前0時からの世界最速上映は各劇場で完売・満席となるほどの盛況ぶりを見せました。X(旧Twitter)では「世界最速」がトレンド入りするなど、その変わらない人気の高さは明らかです。この国民的アニメが再び社会現象を巻き起こす中で、ファンの間で盛り上がる「聖地巡礼」の魅力と、公式・非公式のスポットについて深掘りします。
劇場版『鬼滅の刃 無限城編』が巻き起こす熱狂
吾峠呼世晴さんによる原作漫画は、2016年から『週刊少年ジャンプ』で連載され、単行本の累計発行部数は現在1億5000万部を記録するメガヒット作です。中でも、2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、歴代興行収入1位となる404.3億円をたたき出し、海外を含めた世界全体での興行収入も517億円に上ることで、「世界最高興行収入の日本アニメ映画」としてギネス世界記録に認定されました。
新型コロナウイルスが蔓延した2020年は、まさに「鬼滅の年」と言っても過言ではありません。映画は全世界で4000万人以上を動員し、多種多様な企業コラボ商品が発売され、コスプレイヤーが街にあふれるなど、作品は社会現象を巻き起こしました。
「無限城」の再現?ファンを魅了する“そっくり”スポット
物語に登場する、空間が歪む異様な「無限城」は、その独特なビジュアルで多くのファンに強烈な印象を与えました。実は、現実世界にもその「無限城」を彷彿とさせる場所が存在し、ファンの間で大きな話題となっています。福島県会津若松市にある芦ノ牧温泉の「大川荘」は、その荘厳な吹き抜けと、段々に連なる階段、そして中央に浮かぶ舞台が、まるで「無限城」の世界観そのままのようです。
芦ノ牧温泉大川荘の浮き舞台。鬼滅の刃の無限城を彷彿とさせる壮大な吹き抜け
大川荘は公式な「聖地」認定は受けていませんが、その建築美が作品世界と重なることから、多くの「鬼滅の刃」ファンが訪れ、SNSでは「現実の無限城だ!」と感動の声が上がっています。このような場所が自然発生的に「聖地」として認識されるのは、ファンの作品への深い愛情と、想像力の豊かさの証と言えるでしょう。
公式認定ではない「聖地」の魅力と現実
『鬼滅の刃』の成功は、作中に登場する場所をファンが訪れる「聖地巡礼」という現象も生み出しました。主人公・竈門炭治郎が修行したとされる「一刀石」のような巨石は、長野県や奈良県など全国各地に存在し、多くの人々が訪れました。しかし、これらの場所の多くは、原作や公式から「聖地」として認められているわけではありません。あくまでファンが「ここは鬼滅の刃の舞台ではないか」と盛り上がり、自発的に足を運ぶことで「聖地」としての地位を確立しているのです。
このような非公式の「聖地」は、ファンの熱意と想像力によって創造されるものであり、作品と現実世界が交錯するユニークな文化現象と言えます。
公式が認める「竈門炭治郎」の故郷:雲取山
そのような中で、作品のルーツとして公式にも認められている「聖地」も存在します。それが、東京都奥多摩町に位置する「雲取山」です。埼玉県と山梨県にもまたがる標高2017メートルのこの山は、アニメ第1話の冒頭シーンから登場し、竈門炭治郎と妹・禰豆子の出身地として公式に発表されています。
「鬼滅の刃」ファンにとっては憧れの地であり、多くの人々が訪れるようになりました。ただし、実際に雲取山へ登るには本格的な登山の準備が必要であり、手軽にアクセスできる場所ではないことにも注意が必要です。
まとめ
『鬼滅の刃』は、その壮大な物語と魅力的なキャラクター、そして圧倒的な映像美で、アニメや漫画の枠を超え、日本社会に深く根付く文化現象となりました。劇場版『無限城編』の公開は、その熱狂を再び最高潮に引き上げています。作品に登場する場所への「聖地巡礼」は、公式・非公式を問わず、ファンが作品世界とのつながりを感じ、体験を共有する貴重な機会となっています。これらのスポットは、単なる観光地ではなく、作品への愛と想像力が織りなす特別な場所として、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。
参考文献: