漫画家の倉田真由美氏(53)が、元テレビ朝日社員の玉川徹氏(62)による選挙の投票率に関する発言に対し、自身の見解をX(旧ツイッター)で表明し、波紋を呼んでいます。この発言は、SNSが投票行動に与える影響や、有権者の政治知識の有無が民主主義にどう影響するかという、社会的な議論を巻き起こしています。
玉川徹氏の「投票率急上昇」に関する問題提起
玉川徹氏は7月21日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に生出演し、7月20日に投開票された参院選で投票率が急上昇したことについて言及しました。彼は「ここ10年くらい、選挙に行かなくなった人、そういう人が行ったんですね。今回。誰が行ったんだろうということは分析しないといけないと思うんです」と述べ、投票率上昇の背景に疑問を呈しました。
SNS影響と投票行動の変化への懸念
玉川氏は、今回の参院選における投票率の増加について、SNSの影響と投票行動の変化を推察しました。「今までと全然違うのは、選挙に行く人という人は、政治とか選挙に関しての基本知識を持っている人が行っていたんですよ。それが大体5割くらいの人が行っているという。ところが、まったく今までそういうものがない、学校だって教えないわけですから、近現代史教えないんだから。だからそういう風なことさえ知らない、与党と野党がどうなっているかも知らない、そういう人が、SNSで初めてふれて、アルゴリズムで飛んできた、そういうふうな情報に触れて、そこに感化されて、行動を起こしたという人が相当数いるということなんですよね」と分析。その上で、「社会にどんな影響を与えるかというのは僕ちょっと分からないですね。未知数」「いままでは投票率上がるいいことだと思っていたけど、果たしてどうだろうと。これからの日本を考えた時にというか。10年後に振り返った時に。ていう風な感じを僕は思っているんで、比例の投票っていうのは分析したいところです」と、自身の懸念を示しました。
漫画家の倉田真由美氏。選挙の投票率とSNSの影響に関する玉川徹氏の発言に対し、自身の見解を述べている様子。
倉田真由美氏による批判:「エリートが愚民を導く」思想への警鐘
倉田真由美氏は、玉川氏の発言を取り上げた記事を引用する形で、Xに投稿。「政治の知識がない人は選挙行ったらあかんのか。左派の『エリートが愚民を導く』的な思想が凝縮された発想」と、玉川氏の考え方を厳しく批判しました。彼女は、特定の層だけが選挙に参加すべきであるという考え方に対し、強い警鐘を鳴らしました。
「民主主義の死」を指摘
さらに倉田氏は、「『投票率が上がることは必ずしもよくない』という発想になること、これはもうその人の中で民主主義が死んでいるということだ」と指摘。玉川氏の発言が、本質的に民主主義の理念に反するものであるとの見解を示し、投票率の上昇を必ずしも肯定的に捉えない姿勢を疑問視しました。この発言は、国民の政治参加のあり方や、情報化社会における民主主義の健全性について、改めて深く考えるきっかけとなっています。
今回の倉田氏と玉川氏の発言は、現代社会における情報伝達のあり方、特にSNSが国民の政治意識や投票行動に与える影響、そして民主主義の根幹をなす「政治参加」の意味について、活発な議論を促すものとなるでしょう。