石破茂首相、なぜ「嫌われる」?参院選大敗後の退陣圧力と専門家の多角的分析

参院選での大敗を受け、自民党内で石破茂首相への退陣圧力が強まる中、米国政治を専門とする中林美恵子早大教授と元自民党幹事長の石原伸晃氏が日本テレビ系「サタデーLIVE ニュースジグザグ」で、その背景について多角的な議論を展開しました。中林教授は、石破首相が「なぜこれほど嫌われるのか」という疑問を呈し、国民目線での評価と党内の声との乖離を指摘しています。

中林教授の疑問提起:「嫌われる」理由の不可解さ

番組で中林教授は、メディアが石破首相に厳しい姿勢をとる点に触れつつ、「そこがすごく不思議なんですけど」と切り出しました。特に、米国との関税交渉を粘り強くまとめ上げた手腕を評価。「国民目線では、だれが総理でも、日本の国益を代表してくれればそれでいいという感覚もある」にもかかわらず、自民党内やメディアから「嫌われているように感じる」と述べ、その理由を石原氏に尋ねました。国民の視点と党やメディアの評価との間にギャップがあることを示唆する発言です。

石破茂首相の横顔と政治的局面を示す写真。参院選敗北後の退陣圧力を受ける自民党総裁の姿。石破茂首相の横顔と政治的局面を示す写真。参院選敗北後の退陣圧力を受ける自民党総裁の姿。

石原元幹事長の分析:選挙「3連敗」の重み

中林教授の問いに対し、石原氏は「それは簡単ですよ。選挙3連敗したら普通、恥をかきますよ」と明快に答えました。昨年の衆院選、6月の東京都議選、そして今回の参院選と、石破自民党が喫した連続敗北が、退陣論の主な根拠であると強調。特に、「選挙に強いと言われていて、みんな(総裁に)選んだ」経緯があるため、期待を裏切られた形になったと説明しました。石原氏は自身が応援に入った都議選の「悲惨さ」にも触れ、多くの優秀な若手候補が落選した現状を訴えました。

物価高と公約への不信:国民目線の見解

しかし中林教授は、今回の選挙結果や前回の衆院選の根本原因として「物価高が私たちを苦しめているところが最も大きかった」と指摘。自民党がこの問題にどう対処するのか「実際に見えなくて、(石破首相の)責任、責任と言うのがどうしても良く分からない」と、選挙結果が首相個人の責任だけでなく、より広範な国民生活の苦境に起因している可能性を示唆しました。

これに対し、石原氏も「おっしゃるとおりなんです」と物価高が背景にあることを認めつつ、自民党が公約で打ち出した国民1人あたり一律2万円の給付金に言及。「あれは財務省がいいですよと言ったんですよ。1回だから。減税だと続くでしょ、しばらく」と内情を明かしました。その上で、「そういうことが、国民のみなさんの方が賢いから見ている。見え透いている」と述べ、党の思惑が有権者に見透かされているという認識を示し、与党への苦言を呈しました。

カツカレーを食す石破茂首相の日常的な一面。物価高や国民生活への影響が議論される中での食事風景。カツカレーを食す石破茂首相の日常的な一面。物価高や国民生活への影響が議論される中での食事風景。

まとめ

石破茂首相に対する退陣圧力は、単なる選挙の敗北だけでなく、国民の物価高に対する不満や、与党の政策への不信感といった複数の要因が複雑に絡み合って生じていることが、今回の議論から浮き彫りになりました。専門家や元幹事長の見解は、首相個人の評価と、より大きな政治的・経済的背景との間に存在する乖離を示しており、今後の政局の行方を左右する重要な視点となるでしょう。


参考文献: