神戸殺害事件、谷本容疑者が被害者勤務先を事前徘徊 防犯カメラが捉えた執拗な動き

神戸市中央区のマンションで発生した女性殺害事件において、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)が、事件前日にも被害者女性の勤務先周辺を徘徊していたことが、防犯カメラの映像によって明らかになりました。捜査関係者への取材から判明したこの新事実は、事件の背景に潜む谷本容疑者の計画的な行動を示唆しています。

谷本容疑者の事前行動を裏付ける防犯カメラ映像

朝日新聞が入手した事件前日(8月19日)の防犯カメラ映像には、谷本容疑者とみられる男が、被害者女性の勤務先ビルが見える位置に座り込んでいる様子が捉えられていました。その後、男は立ち上がり、ゆっくりと歩き始め、数回にわたり勤務先のビルに視線を送るように首を動かし、やがて画角から姿を消しました。

神戸市中央区の防犯カメラに映る谷本将志容疑者とみられる男。事件前日、被害者勤務先付近を徘徊する様子を捉えた映像。神戸市中央区の防犯カメラに映る谷本将志容疑者とみられる男。事件前日、被害者勤務先付近を徘徊する様子を捉えた映像。

事件当日である20日にも、女性が退勤する数分前から、谷本容疑者が勤務先付近をうろつく姿が複数回確認されています。兵庫県警は、これらの映像に映る男が東京都新宿区在住の谷本将志容疑者であるとみて捜査を進めています。さらに、捜査関係者によると、谷本容疑者は事件の3日前の17日から、被害者の勤務先近くにある神戸市中央区内のホテルに滞在していたことも判明しました。この一連の行動は、谷本容疑者が周到な計画のもと、被害者を狙っていた可能性を強く裏付けるものとされています。

供述と捜査の進展

谷本将志容疑者は、被害者女性について「全く知らない人です」と供述しており、これまでの捜査においても、容疑者と被害者の間に明確な接点は確認されていません。葺合(ふきあい)署捜査本部は、この供述と事前行動の乖離を重視し、被害者が谷本容疑者に一方的に狙われたとの見方を強めています。現在、捜査本部は、谷本容疑者がなぜ被害者を標的としたのか、その詳しい経緯や動機を慎重に調べています。

谷本容疑者の逮捕容疑は、20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区のマンション内で、住人である会社員の片山恵さん(24)の上半身をナイフで複数回刺し、殺害したというものです。逮捕当初、谷本容疑者は片山さんを刺したことは認めたものの、「殺意を持っていたかはわかりません」と供述しており、この点についても詳細な取り調べが進められています。

この事件は、見ず知らずの人物に狙われるという社会不安を呼び起こしており、動機の解明が待たれます。

参考文献