参院選での大敗を受け、自民党内で石破茂総理(68)への引責辞任を求める声が強まる中、続投方針を崩さない石破氏に対し、予期せぬ人物から助言が寄せられました。その人物とは、地域政党「再生の道」の石丸伸二代表(43)です。昨年7月の都知事選で小池百合子知事に次ぐ166万票を獲得し、「政治屋の一掃」を掲げて「石丸旋風」を巻き起こした石丸氏は、自民党の混迷に対し、その明快な言葉で独自の視点を提示しました。
参院選後の政局が混迷を深める中、石破総理の進退問題は自民党内の大きな焦点となっています。党内では「石破おろし」と呼ばれる動きが活発化し、総裁選の前倒し実施を求める声が上がるなど、党の将来を巡る議論が白熱しています。こうした状況下で石丸氏が提示した「刺し違える覚悟」という助言は、単なる批判に留まらず、現状打開に向けた一つの大胆な提言として注目を集めています。
石丸伸二氏の「刺し違え覚悟」の助言
8月27日、再生の党代表退任を発表した記者会見で、石丸伸二氏は自民党内で吹き荒れる「石破おろし」について問われ、苦笑しつつも自身の見解を述べました。「辞めることも責任の取り方であるし、辞めずに立て直すのも責任の取り方で、どちらが正しいか答えはない」と前置きした上で、組織の代表が全て悪いわけではないと指摘。昨年の衆院選も今年の参院選も「政治とカネ」の問題が背景にあったため、全ての責任が石破氏一人にあるわけではないとの認識を示しました。さらに、責任とは自民党内ではなく「与党として国民に対する責任を取る」ことだと強調しました。
石丸氏が石破氏の今後について語った言葉は、その「石丸旋風」を彷彿とさせるものでした。「どうせおろされるなら刺し違える覚悟があってもいい。裏金の責任をこの人とこの人にとらせます、と名指しをし、道連れにする。自民党のためでもあるし、日本国のためにもなる」。この発言は、単なる辞任論ではなく、党内の腐敗構造を根本から改革するために、石破氏自身が「生け贄」となることで、連座する者たちを巻き込み、党の刷新を図るという極めて大胆な提言と受け止められます。
石破総理への助言が注目される中、再生の党代表辞任会見で記者の質問に答える石丸伸二氏
自民党総裁選前倒し巡る攻防と「踏み絵」
石丸氏の助言が報じられる一方、自民党内では総裁選の前倒し実施を巡る攻防が続いています。8月27日、自民党総裁選挙管理委員会は2度目の会合を開催し、真夏にも関わらず男性委員にネクタイ着用を求めるなど、その重要性を示しました。主要な論点となったのは、総裁選の前倒しを求めた議員の名前を公開するか否かでした。
初会合に続き、この日も一部委員からは「無記名で公開は要求議員の総数のみ」との意見が出されました。しかし、「総裁に実質的に辞任を迫るもので、その責任は重たい」との意見が上回り、最終的には総裁選の前倒しを要求する議員に対し、署名・捺印をした書面の持参を決定。逢沢一郎委員長(71)は、氏名公表の理由について「重い判断であり、選管として公表したほうが党に対する信頼感が増すのではないか」と述べました。
選管が定めた日の午前9時から15時までの1日のみを提出日とし、議員本人が党本部に持参することが義務付けられました。やむを得ない事情がある場合のみ代理提出が認められますが、その際も委員が議員の携帯電話に連絡し、意思確認できたものを有効とする厳格な対応が取られます。複数の議員を取りまとめ、一括して提出することは禁止され、遠方の都道府県連にはメールを活用し、近隣の地方組織については党本部に持参を求める方策が取られることになりました。
逢沢委員長は「納得感、自民党の透明度、情報発信のあり方に配慮するなら選管として公表したほうが自民党への信頼感が増すのではないか、という意見があった。さまざまな政治的な影響などいろいろな角度で議論し、最終的に公開を決めた」と、氏名公表に至った経緯を説明しました。自民党所属国会議員は295人、都道府県連代表は47人で合計342人。このうち過半数の172人を超えれば臨時総裁選が開催されることになりますが、過半数に届かなければ石破総裁の続投が決定します。
「石破おろし」の機運にブレーキか?識者の見方
氏名公表という「踏み絵」が提示されたことで、「反石破派の機運が萎んだ」との声が委員の一人から匿名を条件に聞かれました。署名・捺印し、議員本人が持参、さらに集計後に提出者の氏名が公表されるとなれば、「石破おろし」に関与したことが明らかになるためです。もし過半数に満たず総裁選が開催されなかった場合、執行部からの人事での冷遇や報復措置を考え、二の足を踏む議員も出ると予想されます。
9月8日が集計日となりますが、党本部にマスコミが居並ぶ中、選挙地盤が弱い若手議員や比例代表の議員は、要求書を提出しに行くことに強い抵抗を感じるでしょう。また、石破政権の大臣、副大臣、政務官など66人が臨時の総裁選開催を要求するならば、まず職を辞するのが筋ではないか、という批判の声も上がる可能性もあります。
このような状況の中、世論調査では石破政権の続投容認が強まる傾向も報じられています。しかし、“国会の爆弾男”の異名を持つ西田昌司参議院議員(66)は、前倒しの総裁選開催を強く願っています。西田氏は、「氏名公表は執行部の圧力以外の何物でもない。私は無記名投票であっても自分の名前を書いて、総裁選開催を求めるつもりだった」と選管の決定を批判。さらに、「世論調査もたかだか千人程度で、聞き方次第でもあり、真の民意ではない。真の民意は選挙だ。選挙結果は石破政権にノーを突きつけている。フルスペックの総裁選をやるべき。やらなければ自民党は持たない」と訴え、抜本的な刷新の必要性を強調しました。
石破氏の進退を巡る党内の綱引きは依然として続き、その収束のめどは立っていません。この40日以上にわたり、政策論争もそっちのけで無為な時間ばかりが費やされている状況は、日本政治にとって大きな損失です。石丸氏が指摘する「刺し違え」「道連れ」案は、現状の膠着状態を打破し、自民党内の「政治とカネ」の問題に終止符を打つための一つの劇薬となり得るのかもしれません。石破総理がこの助言をどのように受け止めるのか、今後の動向が注目されます。
参考文献:
FRIDAYデジタル
Yahoo!ニュース