トランプ氏、インドの「過剰関税」とロシア依存を強く非難:米中露印の複雑な国際関係に警鐘

アメリカのドナルド・トランプ前大統領は、自身のSNSを通じてインドの関税政策とロシアとの貿易関係を激しく批判し、その後の「関税ゼロ」提案を「手遅れだ」と一蹴しました。この発言は、米印間の貿易摩擦を浮き彫りにするだけでなく、インドがロシアからのエネルギー・軍事製品調達を続ける中で、米国の対外政策がもたらす地政学的な影響について、改めて国際社会に問いかけるものとなっています。

トランプ氏、インドの「不公平な関税」とロシアとの関係を非難

トランプ氏は1日、自身のSNSで「インドはこれまでどの国よりも高い関税を我々にかけているため、我々の企業はインドと取引ができないのだ。完全に一方的な災難だ!」と強い言葉で批判を展開しました。さらに、インドが石油や軍事製品のほとんどをロシアから購入し、アメリカからの購入がごくわずかである現状を指摘。「彼らは今になって関税をゼロに引き下げることを提案しているが、手遅れだ」と述べ、インド側の譲歩案を拒否する姿勢を示しました。これは、インドの貿易慣行と外交姿勢に対するトランプ政権(当時)以来の一貫した不満の表れと言えます。

米国の制裁と上海協力機構首脳会議の背景

トランプ政権は以前、ロシア産原油の購入を続けるインドに対し、制裁の一環として追加関税を50%に引き上げていました。こうした状況下で、中国では同日に上海協力機構(SCO)の首脳会議が開催され、インドのモディ首相やロシアのプーチン大統領らが出席。関係各国が結束をアピールしました。この動きは、米国の制裁圧力にもかかわらず、インドが戦略的なパートナーシップを維持しようとしていることを示唆しています。

トランプ氏とモディ首相、プーチン大統領らが関係する国際情勢のイメージトランプ氏とモディ首相、プーチン大統領らが関係する国際情勢のイメージ

米メディアの懸念:新興勢力の台頭と米国の影響力低下

アメリカの主要メディアは、インド、ロシア、中国の新たな友好関係が、トランプ政権による強硬な貿易・外交政策がもたらすリスクを浮き彫りにしていると危機感を示しています。これらのメディアは、「これはアメリカのライバル国に連携強化を促し、やがて西欧諸国以外の国々におけるアメリカの影響力を低下させる可能性がある」と報じ、米国の外交戦略が意図せず新興勢力間の結びつきを強め、結果として国際社会における米国の優位性を損なう可能性を警告しています。

結論

トランプ氏のインド批判は、米国が直面する国際貿易と地政学的な課題の複雑さを示しています。インド、ロシア、中国間の関係強化は、米国の強硬な外交政策が引き起こす予期せぬ結果として、今後の国際情勢における勢力図に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。この動きは、西側諸国以外の国々における米国の影響力低下という、新たな国際秩序形成への懸念を強めています。

参考文献