住宅メーカー突然破産、2000万円消失で35年ローン「もう絶望」~兵庫の被害者

兵庫県で活動していた住宅メーカー「企広」が突如破産し、新築住宅を注文した多くの人々が深刻な被害に直面しています。特に、数千万円もの着手金を支払ったにもかかわらず、未だに家が建たず更地のままというケースが相次ぎ、被害者の間には深い絶望感が広がっています。住宅ローンだけが残り、建物が存在しないというこの悲劇は、住宅建設における予期せぬリスクを浮き彫りにしています。

夢のマイホーム、一転して「更地」に

兵庫県に住むAさん(40代)は、共働きの妻と幼い2人の子どもとの将来を見据え、マイホームの購入を決意しました。小学校入学を控える子どもたちのため、永住する土地と新築住宅を計画。去年12月、姫路市内の住宅メーカー「企広」に新築住宅の建設を依頼しました。当初の打ち合わせは希望通りに進み、Aさんは夢の実現に胸を膨らませていました。

契約時と着工前の支払いを合わせ、Aさんは合計2150万円を「企広」に支払いました。そのほとんどが住宅ローンで賄われています。地鎮祭も終え、今年4月からの着工を待つばかりでしたが、予定から1カ月以上が過ぎても工事は一向に始まりません。不審に思っていた矢先、仲介業者から「企広が倒産したらしい」という信じがたい知らせが入りました。

更地となったAさんの住宅予定地。夢のマイホームが建つはずだった場所には、何もありません。更地となったAさんの住宅予定地。夢のマイホームが建つはずだった場所には、何もありません。

「もう絶望です。頭の中が真っ白になった」と語るAさん。直後に元担当者から届いたメッセージには、「株式会社企広は4月28日に倒産致しました。従業員一同も当日、企広の代理人弁護士に告げられ直ちに解雇され事務所から閉め出される形になり、突然のことで大変驚いております。今後一切の窓口・決定は破産管財人になります。」と記されていました。このメッセージ以降、会社や従業員との連絡は一切取れなくなりました。

住宅メーカー「企広」の担当者から被害者に届いた倒産を告げるメッセージ。突然の解雇を伝える内容も。住宅メーカー「企広」の担当者から被害者に届いた倒産を告げるメッセージ。突然の解雇を伝える内容も。

現在、Aさんの「夢のマイホーム」が建つはずだった土地は、手つかずの更地のままです。残されたのは、2000万円を超える多額の35年住宅ローンだけ。「建物が存在しないのに住宅ローンだけが始まる。これまでかけた時間や家族の気持ち、そして高額なお金を払って何も得られないのが本当に無念で苦しい」とAさんは深い悲しみを語っています。

拡大する消費者被害と今後の展望

「企広」の突然の倒産により、Aさん以外にも同様の被害を訴える声が複数上がっているといいます。住宅建設における消費者の着手金は高額であるため、今回のような住宅メーカーの経営破綻は、個人の財産形成に甚大な影響を与え、長期にわたる経済的、精神的負担を強いることになります。今後、破産管財人による負債整理が進められることになりますが、被害者への具体的な返済や補償がどこまで可能なのかは不透明な状況です。住宅購入を検討する際には、建築会社の選定における慎重な調査と、万が一のリスクに備えるための対策が改めて求められます。


参考文献: