自民党内で、総裁選挙の前倒しを求める声が急速に高まっています。特に、党内唯一の派閥を率いる麻生太郎最高顧問(84)が、カメラの前で公に前倒し要求を表明したことで、党内の緊張は一層激化。この動きに対し、石破茂総理大臣の動向や、深まりを見せる党内の亀裂の行方が注目されています。
麻生氏、総裁選「惨敗は明らか」と前倒し要求
自民党の重鎮である麻生太郎最高顧問が、総裁選挙の前倒しを求める動きの先頭に立ちました。麻生氏は、派閥の研修会において「参議院の選挙が自民党にとりまして大変厳しいものであったと。まさに惨敗と言えるものであったことは明らかです」と、直近の選挙結果に対する強い認識を示しました。続けて、「私自身につきましては、総裁選挙の前倒しを要求する書面に署名、そして提出をすると決めております」と宣言。党内に一定の影響力を持つ麻生氏の発言は、石破総理に対する圧力を一段と強めるものと見られています。
参議院選挙の惨敗は明らか」と述べ、自民党総裁選の前倒しを要求する麻生太郎最高顧問の姿
深まる党内亀裂:石破総理の「禅問答」と各派の動き
麻生氏の動きに対し、石破総理の側近からは異なる見解も示されています。自民党の鈴木宗男参院議員は、「私は麻生さんが前倒し賛成だと言えばですね、逆に世論は冷静な判断をして、よくぞ言ってくれた、あなたが出ることによって、またこれで自民党の支持は下がりますよという流れになってくると思います。前倒しの議論が出てきてから石破さんの支持が上がっていってるんですから」と述べ、麻生氏の行動が逆効果になりうると指摘しました。
一方で、石破総理自身の発言は、党内の混乱に拍車をかけています。「地位に恋々とするものでは全くございません。しがみつくつもりも全くございません。しかるべき時にきちんとした決断をする」と述べたものの、「(Q.しかるべき時期はどれくらいの期間?)それはしかるべき時期で」と具体的な言及を避けた姿勢は、まるで禅問答のようだと受け止められています。旧石破派のメンバーだった斎藤健元経済産業大臣も、「本音が分からなかったという感じかな」と、その真意を測りかねる様子を見せました。
実際、2日の両院議員総会の前には、斎藤氏に加え、萩生田元政調会長、古川元法務大臣ら合計5人で会談。出席者からは「石破総理には愛想が尽きた」「全員が総裁選の前倒しに賛成だ」「推すなら進次郎だろう」といった意見が飛び交ったと報じられています。これに対し、小泉進次郎農林水産大臣は、「総裁選を前倒しでやるかどうかが8日に決まるわけですから。一人ひとりの議員として判断が問われるところですので、私もしっかりと向き合っていきたいと思います」と、含みを持たせた発言をしました。
さらに、石破内閣に身を置く20人近い副大臣や政務官、そして小林鷹之元経済安保担当大臣ら中堅議員25人ほども、総裁選前倒しに賛成の意向を表明。武部文科副大臣は、「石破総裁に辞めていただくとか、石破おろしだということではなくて、新しい自民党の出直し、つくり直しをするには、総裁選はやるべきだと思っています」と、その意図を説明しました。
「権力を使った威圧か」:解散総選挙への思惑
一部の自民党中堅議員は、石破総理の「しかるべき時に決断」という発言の裏に、別の思惑があるとの見方を示しています。「『しかるべき時に決断』と、総裁ではなく内閣総理大臣として言った。これは解散の可能性をにおわせているんだなと思った。要は権力を使った威圧だ」と指摘。総裁選の前倒し要求に対するけん制として、衆議院の解散総選挙というカードをちらつかせている可能性も浮上し、党内の緊張は最高潮に達しています。
結論
自民党内で総裁選前倒しの動きが活発化し、麻生最高顧問の公の表明が、石破総理に対する強い圧力となっています。石破総理の曖昧な発言は党内の不信感を深め、多くの議員が前倒しを支持する状況です。これは、単なる党内権力闘争に留まらず、日本の政治情勢に大きな影響を与える可能性を秘めており、今後の展開から目が離せません。
参考文献
- Yahoo!ニュース (2025年9月3日) 「総裁選“前倒し”どうなる 麻生氏「惨敗は明らか」」.
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b7809ef82160d32a6617cfc7caa8c02e348ba71