日本航空機長がアルコール検査記録を改ざんか、ホノルル飲酒問題で懲戒処分検討

日本航空(JAL)の国際線に搭乗予定だった男性機長(64)が、米ホノルル滞在中に社内規定に反して飲酒し、さらに乗務当日にアルコールが検知された検査記録を改ざんしていたことが明らかになった。これは、滞在先での過剰な飲酒を隠蔽する目的があったとみられている。度重なる飲酒問題に直面する中で、日航は当該機長に対する懲戒処分を検討している。この事態は、航空会社の運航安全基準とパイロットの倫理意識に対する厳格な監視が求められることを改めて浮き彫りにしている。

機長の飲酒と虚偽申告の詳細

JALが4日に開催した記者会見によると、問題の機長は8月28日午後にホノルル発中部行きの便に乗務する予定だった。前日の27日午後、ホテルの自室でアルコール度数9.5%のビール(約550ミリリットル)を3本飲んだとされている。そして、28日朝にホテルの自室で自主的にアルコール検査を行ったところ、呼気1リットルあたり0.45ミリグラムのアルコールが検知された。機長はその後、ホテル出発直前になって飲酒したことをJALに申告したという。この申告自体が事実と異なり、飲酒のタイミングと量を隠そうとした意図が疑われている。

日本航空の幹部らが飲酒問題について記者会見を開いている様子。国土交通省で4日撮影。日本航空の幹部らが飲酒問題について記者会見を開いている様子。国土交通省で4日撮影。

約60回にわたる検査記録改ざんの判明

JALが実施した社内調査の結果、機長はアルコール検査を約60回にわたって実施していたにもかかわらず、その記録の一部の日付を改ざんしていたことが判明した。さらに深刻なのは、滞在先での飲酒が全面的に禁じられた昨年12月以降も、検査記録には複数回にわたる改ざんの形跡が見られた点である。機長は調査に対し、「これまでも滞在先で10回ほど酒を飲んだ」と説明しており、常習的な違反の可能性が指摘されている。この行為は、航空業界における信頼性と安全規範を著しく損なうものである。

日本航空のロゴと航空機が描かれたイメージ。航空業界の安全を象徴する。日本航空のロゴと航空機が描かれたイメージ。航空業界の安全を象徴する。

過去の飲酒問題と日航の対策、そして今回の事態

JALでは、昨年発生した豪メルボルンでの機長飲酒問題を受け、今年1月に抜本的な対策を発表していた。具体的には、滞在先での飲酒を全面的に禁じる措置に加え、飲酒リスクの高いパイロットを対象とした「要注意者リスト」を作成し、厳重な管理体制を敷くことを表明していた。驚くべきことに、今回の問題を起こした機長もこの「要注意者リスト」に含まれており、今年の8月には産業医との面談を通じて禁酒を決意したばかりだったという。このような背景があるにもかかわらず違反が発覚したことは、JALの飲酒問題対策の実効性に対し、改めて厳しい目が向けられることとなる。

まとめ

日本航空の機長によるアルコール検査記録の改ざんは、航空安全への重大な脅威であり、会社の信頼を大きく揺るがす行為です。JALは過去の教訓から対策を強化したにもかかわらず、今回のような事態が発生したことは、規律順守と安全文化のさらなる徹底が不可欠であることを示しています。同社は、今回の問題を厳正に受け止め、再発防止に向けて一層の努力が求められます。

参考文献

  • 日本航空、機長のアルコール検査記録改ざん問題に関する記者会見資料
  • 読売新聞オンライン