7日、プロ野球・阪神タイガースがセ・リーグ優勝を決め、関西地方は熱狂の渦に包まれました。両リーグ史上最速、さらに本拠地の甲子園球場での週末のゲームを制しての優勝ということもあり、その盛り上がりは尋常ではなかったと報じられています。そんな中、大阪・ミナミの象徴である「道頓堀」では、例年とは異なる“異変”が起きていました。
かつてカーネルサンダース人形が川に投げ込まれるなど、阪神タイガースの優勝時には“恒例行事”と化していた道頓堀川への飛び込み行為。この危険な熱狂に対して、今年は大阪市が異例の対応を取りました。
優勝時の「恒例」となった道頓堀ダイブの背景
阪神タイガースの優勝は、関西の人々にとって長年の悲願であり、その喜びは爆発的な形で表現されることが少なくありません。特に、道頓堀川への飛び込みは、1985年の日本一決定時以来、一部のファンによる過激な祝賀行為として知られています。その背景には、長らく優勝から遠ざかっていたチームへの鬱積した思いや、祝祭的な高揚感があります。しかし、この行為は常に危険と隣り合わせであり、行政や警察にとっては大きな懸念事項でした。
大阪市の「温情」措置:水位調整による安全確保の試み
スポーツ紙記者によると、大阪市は今回の阪神優勝に合わせ、道頓堀川の水位を通常の約1メートル高い3.5メートルに調整する措置を講じました。この対策は、飛び込んだ人々が川底に衝突して負傷するのを防ぎ、万が一の事態に備えて救助活動を容易にするためのものです。同様の水位調整は、2年前の阪神優勝時だけでなく、ハロウィンや年末のカウントダウンなど、多数の人出が予想されるイベントでも過去に実施されていました。
阪神タイガースのセ・リーグ優勝を祝う熱狂的なファンたち。歓喜に沸く関西の様子を示す
警察の呼びかけも虚しく、相次ぐ飛び込み行為
大阪府警は、道頓堀川への飛び込み行為を自粛するよう、懸命な呼びかけを続けました。しかし、この「温情」措置の影響もあってか、警察官の必死の制止も虚しく、7日未明までに29名もの人々が川へ飛び込んだと大阪府警は発表しています。SNS上では、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」や、日本の妖怪「カッパ」のコスプレをして飛び込む人々の姿も確認され、その熱狂ぶりと、一部のモラルの欠如が浮き彫りになりました。
賛否両論のSNSの反応
大阪市の水位調整という対応に対し、インターネット上では様々な意見が飛び交いました。
- 《飛び込ませたくないなら底が見えるくらい水位下げな。やること逆やろ》
- 《飛ぶな飛ぶなといいながら水位調節してるの ダチョウ俱楽部みたい》
- 《感情的には逆で、水位を低くして怪我してもしょうがない状態にして欲しいところではあるが、怪我したら怪我したでうるさいんやろな》
- 《大阪らしい洒落と優しさに満ちている。ダイブは絶対ダメといいつつも「こいつら絶対飛ぶやん」と飛んだ後のことにも配慮》
- 《下げても飛び込む人は確実にいるから、それで怪我して責任問題なったら嫌だから、下げるのは無理よ》
- 《こういうところが大阪やね。どうせ飛び込む者がいるなら危険を減らそってね》
飛び込み行為を助長するのではないかという批判的な声がある一方で、現実的に飛び込みを完全に阻止することは困難であり、負傷者を出さないための苦肉の策として、大阪市の対応を評価する意見も見られました。
阪神タイガース優勝を祝し、道頓堀川へ飛び込む人々の様子。危険を顧みず歓喜を表現する群衆
「迷惑行為」としての道頓堀ダイブとその危険性
警察の制止を振り切って道頓堀川に飛び込む行為は、直ちに「犯罪行為」には該当しないとされています。しかし、スポーツ紙記者は「“迷惑行為”であることは間違いないです」と指摘しています。道頓堀川の水質は決して良好とは言えず、過去には飛び込んだ人が体調を崩す事例も多く報告されています。お祝いの気持ちは理解できるものの、自身の安全や公衆衛生を考慮すると、こうした行為は厳に慎むべきです。
阪神タイガースのセ・リーグ優勝という歴史的な瞬間は、多くの人々に大きな喜びをもたらしました。その歓喜を表現する方法は様々ですが、安全を第一に、周囲に配慮した行動が求められます。