学歴詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)が、辞職の意思を一向に見せず、その言動はむしろ「加速」しているとの声が上がっています。特に、自身の立場を顧みないかのようなSNSでの投稿が相次ぎ、市民や世論の批判をさらに煽る結果となっています。市民の信頼が揺らぐ中、田久保市長が直面する政治的、法的な局面は一層厳しさを増しています。
長期化する学歴詐称疑惑の経緯と展開
田久保市長の学歴詐称疑惑は、今年5月の市長選で当選を果たした直後から表面化しました。市の広報誌で「東洋大学法学部卒業」と記載されていたことに対し、6月に市議会へ告発文が提出され、波紋を広げました。田久保氏が大学側に確認したところ、実際には「除籍」されていたことが判明。しかし、田久保市長は「卒業証書を所有している」と主張しつつも、公職選挙法違反で刑事告訴されていることを理由に、その証書を公の場で公開することを一貫して拒否しています。
8月13日には、市議会の特別委員会(百条委員会)に証人として出席。ここでも「告発後に大学側に確認して初めて除籍と知った」といった従来の見解を繰り返すにとどまり、疑惑発生から3カ月が経過しても、具体的な進展は見られませんでした。また、証人尋問において、過去に卒業証書を市議会議長らに「チラ見せ」したと報じられた件について、「報道にあるような“チラ見せ”という事実はなく、約19.2秒ほど見ていただいたと記憶しております」と不可解な答弁を行い、さらに混乱を招きました。
市議会による不信任決議と迫る選択の時
事態が膠着する中、9月1日には市議会が全会一致で不信任決議を可決しました。田久保市長は、この市議会から地方自治法違反容疑で刑事告発されている立場にあり、決議の可決から10日以内、すなわち9月11日までに議会を解散するか、自身の辞職・失職を選択しなければならないという、重大な期限が迫っていました。このような追い詰められた状況下で、田久保市長は自身のX(旧Twitter)での投稿を活発化させています。
疑惑渦中の市長がXで発信、「KY投稿」の内容とは
自然保護と観光PR
9月3日、田久保市長は市内の湖を訪れたことを報告し、スワンボートが並ぶ湖畔の写真を投稿しました。その中で、「森に囲まれた美しい湖はボート遊びや湖畔を一周できる遊歩道などが整備され伊東市でも人気の観光スポットです」と伊東市の観光をPR。「先人が大切に守ってきた地域の財産を守り次世代へ引き継ぎ、観光資源として活かしていくための方策を積極的に講じて参ります」と環境保全を訴えました。
伊東市の美しい湖畔に並ぶスワンボート。田久保真紀市長がXで観光振興と環境保全を訴える投稿に使用された写真。
災害視察での「自撮り」に批判
9月6日には、5日の台風15号による突風被害の視察状況を報告。「現在、伊東市では災害廃棄物の受け入れを行っております」とアナウンスしましたが、被害状況の写真とともにアップされた写真の1枚目が、作業着姿の自身の「自撮り」であったため、「必要性が疑われる」として疑問の声が上がりました。
天真爛漫な「ランチ報告」
さらに9月8日には、「窓からの絶景〜!!」と高揚したテンションで、伊東市役所8階の食堂で定食を食べたという「ランチ報告」を投稿しました。「伊東市は空と海の碧、山々と森の緑が美しい宝石箱のような所です。毎日見ていても綺麗だなぁ〜と見とれてしまいます。ここにしかない、この素晴らしい自然を次の世代へ、美しいままに引き継いで参ります」と述べ、最近お気に入りのフレーズである「次世代への引き継ぎ」を繰り返しました。
世論の反応と地方紙記者の見解
地方紙政治部の記者によると、田久保市長はメガソーラー計画の廃止など、一部で支持を得やすい投稿を繰り返しており、実際に市長を応援するコメントも増えているといいます。一方で、未だに公の場で卒業証書を提示せず、市長としての職に居座り続けることへの批判は収まっていません。
記者は「そのような状況下で、まるで何事もなかったかのような、空気を一切読まない投稿を繰り返す市長の強靭なメンタルに困惑する人も多いのではないでしょうか」と、世論の困惑を指摘します。田久保市長のXへの投稿は、「KY投稿」として毎度コメント欄が大荒れとなっており、「すげえメンタルだな」「台風の被害状況の視察なのにあなたの自撮りはいらないのでは?」「このようなポストするくらいなら、卒業証書ポストしたら如何ですか?」「どういう神経してたらそんな悠長なポストできるんだよほんとに、、」「昼飯なんざどうこう言うつもりはないけど、このタイミングでポストする事か?わざと皆んな怒らせてるとしか思えねーな。」といった厳しい声が多数寄せられています。
刑事告発と「四面楚歌」の市長の行方
そして9月9日、伊東市の議長らは、6月に田久保氏から見せられたとされる卒業証書が偽物にあたるとして、「偽造有印私文書行使容疑」で県警伊東署に告発状を提出しました。これにより、田久保市長は議会や市民からの不信任だけでなく、刑事告発という新たな局面を迎え、まさに「四面楚歌」の状況に陥っています。
この一連の出来事は、公職者の透明性、説明責任、そしてソーシャルメディア時代における情報発信のあり方について、私たちに深く問いかけています。田久保市長がこの危機的状況に対し、次にどのような行動を取るのか、その動向に注目が集まっています。
参考文献
- Yahoo!ニュース (記事元)
- Jisin.jp (記事元)
- 時事通信 (写真提供元)