野々村友紀子、産後の謎の脚の不快感「深夜のキックボクシング真似」その正体は?

放送作家として多方面で活躍する野々村友紀子さんが、過去に経験した知られざる苦悩が注目を集めています。電気もつけない暗闇の中で、深夜に3、4時間もキックボクシングの真似をしていたという異様な行動の裏には、脚を動かさずにはいられないほどの不快感が隠されていました。特に産後はその症状が劇的に悪化し、日常生活、特に睡眠に深刻な影響を及ぼしたといいます。この一見奇妙な症状は一体何だったのでしょうか。

学生時代から始まった脚の異変:その初期症状

野々村さんが最初に脚の不快感を覚え始めたのは、学生時代にまで遡るとのことです。昼間は特に気にならず、夜、いざ寝ようと横になると、脚にだるさやむずむずとした違和感が生じ、動かさずにはいられなくなる感覚に襲われました。それは、歩きすぎによる疲労感や、かゆみ、痛みとは異なる独特のもので、例えるなら肩が凝った時に肩を回して関節を鳴らしたくなるような衝動に近いと言います。脚全体というよりは、膝や足首といった関節の周りに症状が現れることが多かったそうです。

この初期段階では、症状が毎日続くわけではなかったため、野々村さんは周囲に相談することもありませんでした。ご自身でも「肩こりのようなよくある症状」と捉え、そこまで深刻には受け止めていなかったようです。当時の彼女にとって、この脚の不快感は、日常のささいな、しかし説明のつきにくい一部でした。

産後、悪化した「我慢できない不快感」:真夜中の異様な行動

しかし、32歳で長女を出産した後、この脚の不快感は一変し、野々村さんの生活を大きく揺るがす耐え難いものへと悪化しました。出産前は、寝転がって軽く脚を動かす程度でどうにか眠りにつくことができたものの、産後は状況が一変します。軽く動かすだけでは全く眠れなくなり、「猛ダッシュで走り出したい」「膝を逆側に曲げてへし折りたい」とさえ感じるほどの強い衝動にかられるようになったのです。この極限状態が続いた結果、彼女は深夜、電気もつけずに暗闇の中でキックボクシングの真似を3、4時間も続けるという行動に走らざるを得なくなりました。

野々村友紀子さんと夫・川谷修士さん、産後のむずむず脚症候群体験を語る野々村友紀子さんと夫・川谷修士さん、産後のむずむず脚症候群体験を語る

症状はやはり夜、寝る体勢になった時に決まって現れ、一度出ると約1週間ほど続くこともあったといいます。この産後の睡眠不足に加えて、脚の不快感が彼女の心身に多大な負担をかけ、深い苦悩に陥れていました。この段階で、彼女が体験していたのは、後に「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」として知られる神経疾患の典型的な症状であることが判明したのです。特に妊娠中や産後は、ホルモンバランスの変化や鉄分不足が原因で、むずむず脚症候群が悪化することが少なくありません。彼女の真夜中のキックボクシングは、まさにこの抗いがたい衝動を和らげようとする無意識の行動だったのです。

専門家による診断:むずむず脚症候群との出会い

野々村さんのように、長年原因不明の脚の不快感に悩まされながらも、それが病気であると認識されないケースは少なくありません。彼女の症状が悪化し、日常生活に支障をきたすようになって初めて、専門医の診察を受けることになります。そこで告げられたのが、「むずむず脚症候群」、別名「レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)」という診断でした。この診断は、長年の苦悩に一つの説明を与え、適切な治療へと繋がる大きな転機となったことでしょう。この症候群は、夕方から夜間にかけて脚に不快な感覚が生じ、そのために脚を動かしたくなるという特徴があります。特に横になったり、座ったりして安静にしている時に症状が現れやすく、睡眠障害の主な原因の一つとなることがあります。

この症状が示すもの:放置できない「サイン」

野々村さんの体験は、多くの人々、特に産後の女性が経験しうる健康上の課題に光を当てています。むずむず脚症候群は、鉄欠乏性貧血や腎臓病、神経疾患など、他の基礎疾患と関連していることもあり、単なる「脚のだるさ」として放置すべきではありません。適切な診断と治療を受けることで、症状の緩和と生活の質の向上が期待できます。野々村さんのように、身体が発する「いつもと違う」サインを見逃さず、専門医に相談することが、早期発見と適切な対処への第一歩となります。

結び

野々村友紀子さんの体験談は、産後の女性が直面する身体の変化や、あまり知られていない症状の重要性を浮き彫りにしています。深夜にキックボクシングの真似をするほどの切迫感は、単なる気のせいではなく、医学的に説明のつく症状であったという事実は、同様の悩みを抱える人々に大きな勇気を与えるでしょう。身体が発する不調のサインに耳を傾け、適切な医療機関で相談することの重要性を改めて認識するきっかけとなるはずです。

参考資料