Mrs. GREEN APPLEライブで起きた「前代未聞の出産騒動」:妊婦がイベントに参加するリスクと専門医の警告

10月25日、人気ロックバンド『Mrs. GREEN APPLE』が、デビュー10周年を記念したドームツアー「BABEL no TOH(バベルの塔)」を名古屋で華々しくスタートさせました。しかし、この大規模なライブは、開場・開演時間の予期せぬ大幅な遅延に見舞われ、その裏には「前代未聞」とも言える出来事があったと報じられています。一体何が起こったのでしょうか。本記事では、この騒動の詳細と、妊娠中の女性がコンサートのような混雑したイベントに参加する際の潜在的なリスク、そして専門医による見解を深掘りします。

ドームを揺るがした「まさかの出産」とその影響

Mrs. GREEN APPLEの名古屋ドームツアー初日、バンテリンドームナゴヤでは、ライブ開始前に異例の事態が発生しました。開場時間が1時間、開演時間も30分ほど後ろ倒しになったのです。この遅延の背景として、SNS上では「ライブ開始前の会場トイレで、臨月の妊婦が出産した」との情報が瞬く間に拡散されました。
報告によると、母子ともに救急搬送されたとされており、この想定外の出来事は瞬く間に大きな物議を醸しました。ドームという公共の場所、しかもライブ開始直前という状況での出産は、多くの人々を驚かせ、様々な議論を呼ぶこととなりました。

Mrs. GREEN APPLEのドームツアー「BABEL no TOH」名古屋公演の様子Mrs. GREEN APPLEのドームツアー「BABEL no TOH」名古屋公演の様子

ネット上で賛否両論、妊婦のイベント参加を巡る議論

この「ドーム内出産騒動」を受けて、インターネット上では様々な意見が飛び交いました。一部からは、「臨月でライブに行くのはさすがに危険ではないか」「周囲にも迷惑がかかるし、リスクが高すぎる」といった批判的な声が上がりました。予期せぬ事態が起こった際、多くの関係者や来場者に影響を及ぼすことへの懸念が背景にあるようです。

一方で、「出産はコントロールできない自然なこと」「まずは母子の無事を祈りたい」「音楽を楽しむという気持ちも尊重すべきだ」といった、女性側に理解を示す意見も多数見られました。しかし、設備の整った病院とは異なり、ライブ会場のトイレで出産することは、母子双方にとって大きなリスクを伴うことは想像に難くありません。

産婦人科医が警鐘を鳴らす「ライブ中の出産」が招く危険性

妊婦がライブイベントに参加することの危険性について、産婦人科医で『丸の内の森レディースクリニック』院長の宋美玄(ソンミヒョン)氏に話を聞きました。宋氏は、出産を控えた妊婦が人が多く、動きにくい会場へ行くことは推奨できないと警鐘を鳴らします。

「妊娠中に全く動いてはいけないわけではありません。買い物や軽い散歩はむしろ推奨されます。しかし、臨月にライブのような混雑する場所へ行くのは全く別の話です。陣痛や破水が起きた際に、すぐに病院へ行けないことが最大の問題となります」と宋氏は指摘します。

また、ライブ会場のような場所で出産することの具体的なリスクについても、次のように説明しています。

「新生児は生まれた直後に体温が下がりやすく、すぐに温めてあげないと低体温症になる危険があります。また、母親も出産後に適切な処置が遅れると、出血が止まりにくくなったり、子宮の戻りが悪くなったりと、リスクが高まります。そのため、自宅からすぐに病院へ行けないような場所、例えば遠方の会場やアクセスの悪い場所へは、臨月の妊婦は行かない方が安全です」

最終的にライブへ行くかどうかの判断は本人に委ねられますが、臨月の場合は医師も推奨できないというのが専門家の見解です。個人の「行きたい気持ち」も大切ですが、母子の安全、そして周囲に多大な迷惑をかけてしまう可能性を考慮し、慎重な判断が求められます。


参考文献: