フジテレビの起死回生なるか?『踊る大捜査線』新作と大悟氏の苦言が示す現状

窮地に立たされているフジテレビは、その立て直しに向けた重要な局面を迎えています。人気お笑いコンビ・千鳥の大悟さんが10月31日放送の『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)で放った、番組終了に関するメッセージが大きな波紋を呼んでいます。年内での番組終了の背景には、フジテレビ上層部の対応に対する大悟さんの不満があったとされており、視聴者の間では「最大限の皮肉」として、局に対する批判の声が相次ぎました。

フジテレビは、2024年末から続くコンプライアンス問題により、視聴者からの信頼を大きく損ね、一時は深刻なCM離れにも直面しました。現在では徐々に回復の兆しを見せていますが、このようなトラブルが再度報じられるたびに、失われた信用を取り戻すのは容易ではありません。こうした状況下で、フジテレビが社運を賭けて送り出すのが、人気シリーズ『踊る大捜査線』の新作映画、『踊る大捜査線 N.E.W.』です。

大悟氏の番組降板騒動が示すフジテレビの現状

『酒のツマミになる話』の番組冒頭、大悟さんはカメラに向かって、「ノブとも話し合った結果、『酒のツマミになる話』……やめまーす!」と冗談めかして降板を宣言しました。続けて、残りの収録分についてはゲストや芸人たちが「一生懸命、おもしろい話をしてくれています」と語り、視聴に感謝を述べた後、間を置いて「はい。それでは……おもしろくなければテレビじゃない!フジテレビ!」と、小さなガッツポーズとともに頭を下げました。この発言は、視聴者からフジテレビへの痛烈な皮肉と受け取られ、SNS上では大悟さんを支持し、局の姿勢を批判する声が多く見られました。

芸能記者は、「2024年末から続くコンプライアンス問題で視聴者の信用ががた落ちし、CM離れにも悩まされたフジテレビは、今回の騒動でさらに信用回復が難しくなるだろう」と指摘しています。テレビ局の根幹を揺るがす信頼問題は、番組制作の自由度や視聴者との関係性にも大きな影響を与えています。

『踊る大捜査線 N.E.W.』、織田裕二の青島俊作が復活

そんな中、希望の光として浮上したのが、『踊る大捜査線』シリーズの新作です。10月31日、『踊る大捜査線 N.E.W.』の公式Xアカウントは、「青島俊作が400人のエキストラに追われながら新宿の街を疾走する大迫力のシーン」と明記し、俳優・織田裕二さん(御年57歳)が全力疾走する姿の場面写真を2点公開しました。写真では、織田さんが困惑した表情で、多くの通行人がスマホを向ける中をダッシュする様子が捉えられており、その臨場感あふれる姿は瞬く間にファンの間で話題となりました。

織田裕二が困惑の表情で新宿の街を疾走する「踊る大捜査線 N.E.W.」の撮影風景織田裕二が困惑の表情で新宿の街を疾走する「踊る大捜査線 N.E.W.」の撮影風景

フジテレビが誇るこのシリーズは、1997年のドラマ放送開始以来、絶大な人気を誇り、スペシャルドラマや映画が次々と制作されてきました。特に劇場版第2作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は、日本実写映画の歴代興行収入1位を記録するほどの社会現象となりました。

シリーズの栄光と近年作の苦戦

『踊る大捜査線』は、その社会現象的なヒットにより、スピンオフ作品も数多く誕生するほどの人気ぶりでした。しかし、近年では状況が変化しています。2024年に公開された、柳葉敏郎さん演じる室井慎次を主人公にした2作の映画は、いずれも興行収入10億円台と、かつての勢いを失い、伸び悩む結果となりました。

こうした苦戦が続く中で、織田裕二さんが久々に主演として青島俊作役に戻ってくる『~N.E.W』への期待は、シリーズファンを中心に非常に高いものがあります。フジテレビにとって、この新作映画は単なるエンターテインメント作品以上の意味を持ち、失墜した信頼回復と局の再起を賭けた「最後の切り札」とも言えるでしょう。

期待と不安が交錯するファンの声

一方で、10月31日に投稿された最新の撮影現場の写真には、不安の声も寄せられています。X(旧Twitter)では、「たった1枚の絵で駄目そうな感じが伝わってくる」「ちょっと遅すぎると思うよ 織田裕二何歳だと思ってんの」「色々とキャストが変わってどうなのかなぁ?」といったコメントが書き込まれました。

最初のドラマシリーズ放送からすでに28年が経過し、青島俊作のトレードマークであるモッズコートも、57歳になる織田さんの年齢を考えると、「少し若すぎるように映るかもしれない」という指摘もあります。しかし、フジテレビとしては、この『踊る大捜査線 N.E.W.』を「社運を賭けた“再起の策”」と位置付けていることは間違いありません。

結論:青島俊作はフジテレビを救えるか?

数々の難事件を解決してきた名刑事・青島俊作。彼が今回、フジテレビという巨大な組織が抱える「信頼回復」という難題をも解決へと導くことができるのか、日本中の注目が集まっています。新作映画の成功は、フジテレビの未来を大きく左右する試金石となるでしょう。