去る11月7日に開催された衆議院予算委員会に向けて、高市早苗首相が秘書官らを伴い午前3時から答弁準備を始めたことが大きな話題を呼んでいます。この異例の事態は、日本の国会運営における根深い課題と、政治家たちの過剰な負担を浮き彫りにしました。国民の間では、国会の「働き方」に対する疑問の声が高まっています。
橋下徹氏が指摘する「完璧な答弁」への過度な労力
弁護士の橋下徹氏は11月9日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出演し、高市首相の“午前3時問題”に言及しました。自身の大阪府知事・市長時代の経験を踏まえ、「この問題の根源的な問題って、日本って、答弁を完璧に期すために完璧な用意をする」ことだと指摘。さらに、「完璧に用意するから、ひとつの質問に対して10も20も想定問答を用意する」ことになり、その準備労力が極めて大きいと力説しました。橋下氏は、総理大臣が国のあらゆる質問を受けるのはおかしいとし、総理に対しては党首間討論に限定するなど、国会議員自身がルールを作るべきだと提言しています。
高市早苗首相が国会での答弁準備に取り組む様子
野党の質問通告遅延が常態化 国会ルールの形骸化
高市首相自身は、午前3時からの準備開始の理由について、前日の公務終了までに質問通告が終わらず、答弁書の作成準備ができなかったためと説明しています。この背景には、衆議院で本来2日前までには質問通告を出すというルールが守られていない現状が一因にあるとされています。佐賀県武雄市の前市長である樋渡啓祐氏は7日、自身のX(旧Twitter)で、「元霞が関の住人から言わせると、とにかく野党の締切が遅い」と指摘。特に菅直人氏や長妻昭氏(当時)から「午前零時を越して追加質問」があった経験を挙げ、ルールが全く守られていない実態を明かしました。
国会議員からも批判の声「高市氏の働き方ではなく仕組みを変えるべき」
この問題に対し、各方面から国会運営のあり方を問題視する声が上がっています。日本維新の会の吉村洋文代表は『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(日本テレビ系)で、「高市さんが言えないから、僕が高市さんに代わって言います。国会の運営の仕方、明らかにおかしいです」と厳しく批判。また、国民民主党の玉木雄一郎代表もXで「変えるべきは、高市総理の働き方ではなく、国会の仕組みです」と投稿し、根本的な改革の必要性を訴えました。いくら「ワークライフバランスを捨てる」と言っても、ルールが守られない結果として午前3時から準備を強いられる国会の現状は、確かに「おかしい」という意見が多数を占めています。
国会における質問と答弁の準備状況を示す資料
再燃する過去の「睡眠障害を勝ち取ろう」発言と世間の反応
今回の「午前3時問題」を受けて、2016年に民主党の中川正春氏が「安倍首相の睡眠障害を勝ち取りましょう!」と発言したことが再び注目され、物議を醸しています。この発言に対しては、「人の心が無い」「えげつなさすぎるだろ」「ただのイジメ。次元が低すぎる」といった強い批判の声が多く、世間のドン引きを招いています。首相を疲弊させ、失言を引き出そうとする野党の姿勢は、パフォーマンス的な要素が強く、真剣な議論よりも政局を優先していると受け取られかねません。
日本国会の議事堂内部の様子
今回の高市首相の件は、国会における「働き方改革」が全く進んでいない現状を改めて浮き彫りにしました。この問題を機に、形骸化した国会ルールが見直され、より効率的で建設的な議論が行われるような運営へと風向きが変わることが強く望まれます。





