みなさんは、「万引きGメン」と聞いて、どんな姿を想像するでしょうか?
鋭い眼光で店内を巡回し、不審な動きをする人物を瞬時に見つけ出す──。そんなドラマのような光景を思い浮かべるかもしれません。
果たして、実態はどうなのか。そのリアルな姿を探るべく、万引きGメン界の“レジェンド”とも言える、株式会社エスピーユニオン・ジャパン代表の望月守男さんにお話を伺いました。御年79歳の望月さんは、19歳でこの世界に飛び込んでから早59年。全盛期にはたった1カ月で186人もの万引き犯を捕まえたという、まさに「神の目」を持つ人物です。
しかし、59年という長いキャリアの果てに彼がたどり着いたのは、我々の想像をはるかに超える“不都合な真実”でした。
「万引きだけを追いかけても、お店は絶対に救えませんよ」
そう語る望月さんが向き合い続けてきた、店舗にとっての“本当の敵”とは、一体何なのでしょう。
■日本に「万引きGメン」が生まれた日
今から50年以上前、まだ「万引きGメン」という言葉すら日本に存在しなかった時代。
当時19歳の望月さんは、千葉県成田市のとあるスーパーマーケットで、偶然にも人生を変える光景を目の当たりにします。店内をそれとなく見渡してみたら、ほんの短い時間に、3人ものお客様がレジを通ることなく商品を持ち去っていったのです。
「正直、ショックでした。お金を支払わずに品物を持っていく人がいるなんて、と。でも、それと同時にひらめいたんです。『待てよ、これをビジネスにしたらどうだろう?』ってね」(望月さん、以下同)
当時は奇しくも、日本全国でセルフサービス形式の店舗が急増していた時期。「万引きなどの不正行為を摘発・防止し、量販店のロスを減らそう」という彼のアイデアは時代の波に乗り、ロス対策の専門会社を立ち上げるや否や、大手スーパーなどから依頼が殺到。毎日のように現場に立つなかで、その才能が一気に開花していきます。






