天皇皇后両陛下の長女である愛子さまが、初の外国公式訪問として11月17日から22日までラオスに滞在され、その訪問を通じて両国の友好関係を一層深められました。首都ビエンチャンのワッタイ国際空港に到着されて以来、行く先々で現地の人々から温かい歓迎を受けられ、心温まる国際交流の場となりました。
初の海外公式訪問、ラオスでのご活動
愛子さまは、長旅の疲れを見せることなく、現地の人々からの歓迎に常に笑顔で応じられました。18日にはビエンチャン中心部の凱旋門「パトゥーサイ」をご視察後、ラオス仏教で最も格式高い「タートルアン大塔」へご移動。その後、国家主席府を訪問し、トンルン国家主席と笑顔で握手を交わされました。この一連のご活動では、両手を合わせるラオス流の挨拶をされるなど、現地の文化に敬意を払い、丁寧なコミュニケーションを取るお姿が印象的でした。寺院視察や国家主席とのご面会時には、ラオス側から贈られた上品な民族衣装の正装をお召しになり、ラオスの伝統文化へ触れるおもてなしを大変喜ばれたとのことです。
ラオス公式訪問のため東京国際空港から出発される愛子さま
晩餐会での感動的なスピーチと深い感謝
18日夜にパーニー国家副主席主催の晩餐会に出席された愛子さまは、民族衣装から淡い黄色の振り袖に着替えられ、にこやかに登壇されました。ラオス語を交え「パーニー国家副主席閣下、御列席の皆さま、サバイディー(こんばんは)」と挨拶されると、会場は温かい雰囲気に包まれました。
愛子さまは、日本とラオスの外交関係樹立70周年という記念すべき年に、初めての国際親善のための外国訪問としてラオスを訪れることができた喜びを述べられました。そして、ラオス国民からの温かい歓迎を通じて「長年にわたって培われてきた両国の心温まる友情の絆を実感することができました」と感謝の気持ちを伝えられました。
晩餐会に先立って行われたラオスの伝統儀式「パーシー・スークワン」への参加にも触れ、手首に巻かれた白い糸に込められた「変わらぬ友情や助け合いの心、旅の安全など様々な祈り」について語られました。人生の節目に互いの幸せを祈念するこの伝統的な儀式に触れる特別な機会を得られたことに深く感謝し、ラオスの美しい自然や伝統文化を称賛されました。
歴史を顧み、未来を展望するメッセージ
愛子さまは、1965年にJICA海外協力隊が初めてラオスに派遣されて以来、両国間で人々が交流を続けてきた歴史に言及されました。さらに、2011年の東日本大震災の際にラオスから寄せられた心温まる支援について触れ、当時小学生だったご自身がその事実を知り、「両国の人々の結び付きが一層深まった出来事として心を動かされるとともに、長く記憶にとどめていきたい」と述べられました。
スピーチの終盤では、日本とラオスの深い友好と幅広い協力関係が、長年にわたる先人たちの努力の積み重ねの上にあることを強調されました。そして、「今後、私たち若い世代が先人達の歩みを受け継ぎ、両国の架け橋となって、ラオスのチャンパーや日本の桜のように、美しい花を咲かせていくことができればと思います」と、次世代への期待を込められました。
続けて「日本・ラオス両国において、お互いの国への理解や関心がより一層高まり、果てしなく続く悠久のメコン川の流れのように、どこまでも発展していくよう願っています」と述べられ、「コー・コープ・チャイ・ラーイ、ニョック・チョーク(どうもありがとうございました。乾杯いたしましょう)」とラオス語で締めくくり、グラスを手にされました。
感動を呼んだスピーチと綿密なご準備
愛子さまが心を込めて述べられた約17分間のスピーチは、多くの人々の心を打ち、X(旧Twitter)では「完璧なスピーチです」「素晴らしすぎて泣いた」「日本語の使い方と表現力に感銘」といった感動の声が広がりました。
愛子さまは、スピーチの途中で意識的に読み上げる速度を調整されるなど、ラオスの方々への細やかな気遣いを示されました。幼少期から作文などで高い評価を受けてこられた愛子さまは、学習院大学文学部日本語日本文学科で学ばれ、卒業論文も締切り直前まで推敲されるなど、文章へのこだわりをお持ちです。今回の晩餐会でのご挨拶も、天皇皇后両陛下に相談しながら、当日の朝まで何度も推敲を重ねてこられたと言います。手元の原稿を読みながらも、文章を読み上げるごとに出席者の方々へ視線を送るお姿からは、愛子さまのお人柄とラオスへの深いお気持ちが現地の方々に伝わったことでしょう。
13年前に天皇陛下も訪問されたラオスへの愛子さまのご訪問は、両国の友情の歴史に新たな一頁を加え、次世代にとって明るい希望となることでしょう。




