【台北=田中靖人】来月11日に投票される台湾の総統選で、3候補者による初めてのテレビ政見発表会が18日夜、行われた。世論調査で優位に立つ与党、民主進歩党の蔡英文総統(63)は1期目の実績を強調して再選に向けた足場固めを図る一方、追う立場の最大野党、中国国民党の韓国瑜高雄市長(62)は逆転への足掛かりをつかみたい考えで、両氏は厳しく対立した。
大手テレビ局TVBSが14日に公表した調査によると、3候補の支持率は蔡氏50%に対し、韓氏は31%、野党、親民党の宋楚瑜氏(77)が6%と大きく差が開いている。
蔡氏は政見発表会で「信頼に足る総統を選んでほしい。口から出まかせで小切手を切るようでは国家を率いる能力はない」と韓氏を痛烈に批判。対中政策では、自身は中国の圧力に「譲ったことも頭を下げたこともない」と訴え、内政面では経済指標の好転や年金制度改革、若年層・弱者向けの減税などの実績を強調した。
一方、「庶民の総統」を掲げる韓氏は、弱点となっている中台関係の話題を避け、「民進党は腐敗し汚職ばかりだ」と主張。内政面でも「詐欺的な数字を用いて経済が好調だなどというのは絶対に受け入れられない」と反論するなど、政権批判に徹した。
政見発表会は25、27の両日にも行われる。3候補の陣営は18日、候補者がメディア代表からの質問に答える形式の討論会を今月29日に実施することで合意した。