更年期の不調は「栄養不足」が9割?心身を支える食事の重要性

仕事や家事に追われる多忙な日々の中で、「なかなか疲れが取れない」「気分が落ち込みがち」「肌や髪の調子が悪い」といった体の不調を感じていませんか?こうした症状を、年齢のせい、あるいは更年期だからと諦めてしまっていませんか。実は、その背景には「栄養不足」が隠されているかもしれません。医師であり、『更年期の不調の原因は栄養不足が9割』の著者である梶尚志氏によると、タンパク質、鉄、脂質、亜鉛、ビタミンB群といった体を支える重要な栄養素が不足すると、ホルモンや自律神経のバランスが乱れ、心と体の不調が現れやすくなると指摘しています。

仕事や家事に追われる女性が疲労を感じている様子仕事や家事に追われる女性が疲労を感じている様子

体を支える最重要栄養素「タンパク質」の力

タンパク質は、ホルモン、酵素、免疫細胞、神経伝達物質など、私たちの体のあらゆる仕組みに関わる、まさに「生命の材料」とも言える欠かせない栄養素です。脳、皮膚、髪、そしてコラーゲンといった体を構成する様々な組織も、タンパク質を材料として作られています。

また、細胞の再生に必要な土台でもあり、その摂取量が不足すると、自律神経や気分の状態に大きな影響が出やすくなります。さらに、セロトニン、ドーパミン、オキシトシンといった「幸せホルモン」もタンパク質から生成されるため、タンパク質が不足すると、気持ちが沈んだり、不安を感じやすくなったりすることがあるのです。

女性ホルモン生成のカギ「良質な脂質」の選び方

脂質は、タンパク質、炭水化物と並ぶ三大栄養素の一つであり、体内で多岐にわたる重要な役割を担っています。その脂質の一種であるコレステロールは、「太る」「体に悪い」といったネガティブなイメージを持たれがちですが、特に女性の体にとっては欠かせない栄養素です。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、コレステロールを材料に、卵巣や副腎で酵素の働きによって合成されます。

女性ホルモンの分泌量が少なくなる更年期の時期には、これらの「材料」が十分に足りているかどうかが特に重要になります。材料がなければ、体はホルモンを作りたくても作ることができません。大切なのは、外部から「ホルモンを補う」ことだけでなく、「自分でホルモンを作れる状態を保つ」ことです。そのためには、食事からどのような種類の脂質を摂取するかが非常に大きなポイントとなります。

サバやイワシなどの青魚に豊富に含まれるDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸には、体内で起こる炎症を抑える働きがあります。また、えごま油や亜麻仁油には、植物由来のオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)が豊富に含まれています。その他、オリーブオイル(エクストラバージン)やごま油にも、体に優しい脂肪酸や抗酸化成分が含まれており、積極的に取り入れたい脂質と言えるでしょう。


更年期に現れる様々な心身の不調は、単に加齢によるものではなく、日々の食生活における栄養不足が深く関係している可能性が高いことがお分かりいただけたでしょうか。タンパク質や良質な脂質など、体が必要とする栄養素を意識的に摂取することで、ホルモンバランスや自律神経の乱れを整え、心と体の健康を取り戻す一助となります。今日からぜひ、ご自身の食生活を見直し、健やかな毎日を送るための栄養バランスを意識してみてください。