立川志らく氏「日本人じゃないの?」発言が波紋、兄弟弟子・立川雲水氏も異論を表明

落語家・立川志らく氏が、情報番組での高市早苗議員の発言擁護を巡るコメントで物議を醸しています。この発言は日中関係だけでなく、芸能界、特に落語界にまで波紋を広げ、同門の兄弟弟子である立川雲水氏からも公に異論が唱えられる事態に発展しました。志らく氏のコメントは、日本における政治的発言とそれに伴う世論の分断を浮き彫りにしています。

立川志らく氏の物議を醸した発言の背景

2025年11月24日、立川志らく氏はTBS系の情報番組『ひるおび』に月曜コメンテーターとして出演しました。番組内で、衆院予算委員会における高市早苗議員の「台湾有事」に関する発言と、それに続く日中関係悪化の影響が特集された際、志らく氏は自身の見解を述べました。高市議員の発言が問題視されていることに対し、志らく氏は「なかには“高市さんの発言によってパンダが来なくなっちゃうからけしからん”という人もいる。高市さんの発言が明らかに間違っているならそう言われてもしかたないが、間違っているわけではない」と擁護しました。

さらに、高市氏の「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースであると考えます」というコメントについて、志らく氏は「最悪を想定して集団的自衛権を、と言って。また、総理大臣になって高らかにそれを言ったわけでもなく、安倍政権のころから繰り返し言っていること。それを立憲が引っ張り出させた」と指摘。その上で、「なぜ高市さんをそこで非難するのか。中国が言ってくるのは分かるんです。ただ日本でもそういう人がたくさんいるということは、あなた方はなんで? 日本人じゃないの? という気すらする」と発言し、大きな波紋を呼びました。

情報番組「ひるおび」に出演する落語家・立川志らく氏情報番組「ひるおび」に出演する落語家・立川志らく氏

高市早苗氏の「台湾有事」に関する発言とその波紋

高市早苗議員の「台湾有事」を巡る発言は、11月7日の衆院予算委員会で立憲民主党の岡田克也議員からの質問に対し行われました。この発言は日中関係を急速に悪化させ、連日報道番組で取り上げられるほどの大きな問題となりました。高市氏の発言は、台湾を巡る国際情勢の緊張が高まる中で、日本の安全保障政策における重要な論点として注目されています。

世論の反応と立川雲水氏からの批判

志らく氏の発言に対し、SNS上では賛否両論が巻き起こりました。「正論」「よく言った」といった称賛の声が寄せられる一方で、「私たちは日本人でないってこと?」「排他的だ」といった反発の声も多く見られました。

この物議は視聴者だけでなく、落語界の内部、特に志らく氏と同じ立川流一門にまで及びました。番組放送日の夜、真打である立川雲水氏が自身のXを更新し、志らく氏の発言に異を唱えました。雲水氏は「『高市早苗を批判する者は日本人か否か?』を問う者に対して返す答えは『「高市早苗を批判する者は日本人か否か?」を問う者って、まともな教育を受けた者なのですか?それに返答する必要ってありますか?』以外にないんですが、何でそれが割と大きなトピックになっているのかが、私的には疑問です」と投稿し、志らく氏の発言の妥当性に疑問を呈しました。これにより、立川一門内でも「分断」が生じていると報じられています。

兄弟弟子間の確執:立川志らく氏と立川雲水氏の関係

立川志らく氏と立川雲水氏は、故・立川談志師匠が設立した立川流に所属する兄弟弟子です。立川流は、伝統にとらわれずに多様な芸風を追求する姿勢が特徴です。志らく氏が3歳年上で、芸歴も3年長く、雲水氏にとって志らく氏は兄弟子にあたります。

しかし、両者の間には以前から確執が存在し、普段の交流はほとんどないとされています。志らく氏は過去にXで、雲水氏が都知事選で前安芸高田市長の石丸伸二氏を厳しく批判していた際、ユーザーから見解を求められたことがあります。その際、志らく氏は「彼は兄弟弟子ではありますが普段の付き合いはありません。落語家は真打になると一国一城の主なので、あった時には注意できますがその種の発言に対して止めることは、彼の責任なので、難しいことをご理解下さい」とコメント。さらに「付け加えるのなら多分私とは考え方があまりに違うので彼はわたしをブロックしているのでX上でのやりとりは出来ません」と述べた上で、「しかし同じ立川談志の弟子なので、不愉快にさせた事を兄弟子として深く陳謝します」と謝罪していました。 このような過去の経緯から、志らく氏と雲水氏の間の「ただならぬ確執」が、今回の騒動で再び浮上した形です。

結論

高市早苗議員の「台湾有事」に関する発言に端を発した議論は、立川志らく氏のコメンテーターとしての発言によってさらに拡大しました。志らく氏の「日本人じゃないの?」という問いかけは、世論の賛否を巻き込み、さらには彼と同じ落語界の同門内にも深刻な亀裂を生じさせています。政治的なテーマが芸能界や伝統の世界にも影響を及ぼし、様々な立場の間で混乱が広がっている現状を示しています。

参考文献