全国農業協同組合中央会(JA全中)の中家徹会長は4日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大による農業への影響に関して「『国消国産』というか、国民が必要とし消費するものは、その国でつくるということが必要だ」と述べ、低迷する日本の食料自給率の向上や農業の生産基盤強化の必要性を強調した。
食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースでみると、平成30年度はコメが大不作となった5年度と並ぶ過去最低の37%となっている。中家氏は「(新型コロナの経験を)教訓として次の行動に移していかなればならない」と語った。
一方、国内で開発された果物や野菜などの種苗について開発者の許諾を得ない持ち出しを禁じる種苗法改正案は今年3月に国会に提出されたが、今国会での成立は見送りとなる公算が大きい。会見に同席した金井健常務理事は「種は大変重要なもので、知的財産として守っていくべきだ」とした上で、「仮に(成立が)先送りとなった場合、(行政は)この間に、改正案の意義や課題について生産現場に対してしっかりと説明してほしい」と述べた。
4日の理事会では次期会長選の実施を決め、立候補の受付を開始。12日に締め切る。代議員による投票を経て7月3日に内定し、8月20日の総会で選出する。現職の中家氏とJA徳島中央会会長の中西庄次郎氏が立候補を表明している。