連休が終わって、現実に引き戻される――そんな嘆きが日本中から聞こえてくる。今日明日の仕事のことを考えて憂鬱な気分になるくらいなら、過去を振り返って気を紛らわすほうが健全かもしれない。そこで、最長11連休となった今年の「ゴールデンウィークの過ごし方」、そして所得による「GW格差」の実態を調査データに基づいて分析した。どうやらGW格差には、「ある日本経済の大問題」が影響しているようだ。(ダイヤモンド・ライフ編集部)
● 物価高で広がった 「GW格差」
最長で11連休取れると言われた2025年のゴールデンウィーク(以下、GW)だが、実際はどのように休んだ人が多かったのか。調査会社インテージが実施したGWに関する調査によると、「GW期間中の最長連休予定」は「4日間」がおよそ4割を占めて最多となった(図1)。飛び石連休となったGWは、暦通りに過ごした人が多かったようだ。
また、同調査によると、2025年のGWの予算は平均2万9237円で、前年比5%ほど増えたようだ(図2)。
しかし、その理由として55.6%の人が「物価高・円安」を挙げたという。マクロ経済の情勢がGWの予算にも変化をもたらしていることが窺える結果となった。
厚生労働省が発表した実質賃金は、2022年〜2024年の3年間連続でマイナス、2025年に入ってからもマイナスが続き、物価上昇に賃金の伸びが追いつかない状況を抜け出せずにいる。
ガソリン代は1年で約6.1%(2025年4月前年同月比)、ホテル代も6.6%(2025年3月前年同月比)、飲食店でも値上げが続いている現状を考慮すれば、予算増加は当然の結果と言える。
「短期化した連休」と「物価高による予算増」が、GWの「過ごし方」にも変化をもたらした。今年の特徴は「自宅で過ごす」と回答した人の割合が増加したことだろう。その他、外出する選択肢が軒並みポイントを落としていることから、「巣ごもりGW」の傾向が強まったことがわかる(図3)。
GWの「過ごし方」に関する理想と現実のギャップを調査した結果(図4)からは、「巣ごもりGW」が本意ではない人が多数いることがわかる。「外出したいができない」ということは、先に言及した「混雑や密集を回避しようとする傾向」や「経済的な負担の増加」によって、外出控えが生じていると考えられる。
さらに、同調査で最も興味深いのは「GWの予算格差」の実態を示すデータだ。
給料の増減見込み別でGWの予算を聞くと、給料が上がった人の予算が6万5130円なのに対して、給料の変動がない人は3万1758円、給料が下がる見込みの人は2万6417円になったという(図5)。
賃上げや新卒初任給の引き上げが話題になっている。だが、多くの方がご存じのように、大企業と中小企業では賃上げの状況に差がある。
東京商工リサーチによると、2025年度に「賃上げを実施する」と答えた企業は85.2%、大企業が92.8%に対して、中小企業は84.6%にとどまりおよそ8ポイントの差があった。予定する賃上げ率は、大企業で「5%台」が最多で32.2%、中小企業では「3%台」が28.9%と最も多くなった。
つまり、大企業に勤めているなどして給料の高く、GW予算が元々高い人ほど給料が上昇している傾向があり、中小企業に勤務するなど給与が上がりにくい人たちのGW予算は低いということが推測できる。富める者がさらに富むという経済格差の拡大が、「GWの予算格差」として露呈しているようだ。
上昇するGWコストによって、「外出したくてもできない」という人が増える――。まさに「GW格差」ともいうべき現状があることがわかった。
ダイヤモンド・ライフ編集部