シリーズ:ニッポン1989
「マルF」と呼ばれた開発プロジェクト【1】
1990年式 トヨタ セルシオ C仕様 Fパッケージ
【画像 24枚】エンジン出力とクラッチ油圧を制御するインテリジェント制御システムを採用し、スムーズな変速を行うECT-i(4速AT)。シフトレバー部のパネルは本木目(ウォールナット)を使用
国産車の歴史でまれに見るビンテージイヤーとなった1989年。そのなかでもひときわ鮮烈な輝きを放ち、国内外に大きな影響を与えたのがセルシオだ。「マルF」と呼ばれたセルシオの開発プロジェクトがスタートしたのは1984年。「ワールド・ワイドに通用する世界のトップレベルのハイ・パフォーマンス・ラグジュアリー・カーの創造」をコンセプトに、50年にもわたり日本の自動車産業をけん引してきたトヨタの技術力を総動員して作られた。
新たなフラッグシップの開発は、すべてを原点からスタートした。そのなかでキーワードとなるのが「源流対策」と「二律背反」。源流対策とは根本から問題や原因を解決すること。たとえば騒音・振動を抑える時、遮音材などで対処するのではなく原因を突き止め、それがエンジンならば精度を追求して騒音や振動を大もとから断つということだ。一事が万事で、ボディや足まわり、シャシーなどすべての部位で、このような対策が行われている。
ハチマルヒーロー 2019年5月号 vol.53
(記事中の内容は掲載当時のもの主とし、一部加筆したものです)
Nostalgic Hero 編集部